脚本家・木皿泉は異例の夏をどう描いた? 『これっきりサマー』演出・泉並敬眞に聞く制作の経緯

岡田健史×南沙良の完璧なキャスティング

ーーほぼ2人芝居をこなした岡田健史さんと南沙良さんも素晴らしかったです。キャスティングはどんな経緯で?

泉並:岡田さんが実際に高校球児だったことは知っていたので、絶対に彼に演じてほしいとは思っていたんです。ただ、現在ドラマにも出演されていますし、ショートドラマですし、大阪に来てもらえるのかと一歩を踏み出せずにいたんです。そしたら、内田ゆき制作統括も、「私は岡田くんがいいと思う」と同じ意見で(笑)。本当にダメ元でオファーを出したら「ぜひやりたい」と返事をくださいました。球児たちの思いを理解していたからというのもあると思いますし、自分にできることは何かをずっと考えていたようなんです。

 一方、相手役は、岡田くんが21歳だったので、現役の高校生に演じてもらえたらと考えていました。高校生の俳優さんを探すためにいろんな作品を観たのですが、映画『幼な子われらに生まれ』を観たときに、こんなに複雑な感情を表現できるのかと南さんに惹かれました。香は大人になろうと頑張っているけど、まだ子供らしさも残っているキャラクターで。複雑な屈折感が南さんなら表現できると感じました。本当にこの2人に演じてもらえてよかったです。

ーー8月17日より関西地域で放送されたものは各話が2分ごととなっています。8月22日の「まとめ版」はどんな違いがあるでしょうか?

泉並:『ホーム・ノット・アローン』のときはまとめることを想定していなかったので、各話が比較的独立していました。本作の場合は10分版を想定して作っている部分もあり、まとめ版にしかないカットも随所にありますし、2人の高校生の感情の流れが、まとめ版で観るとより伝わるものがあるかと思います。また、2分だとどうしてもすぐ終わってしまいますが、まとめ版だとその後の“余韻”も味わってもらえるのではないかなと。

ーー余韻という部分では、エンディングテーマのTHE BLUE HEARTS「終わらない歌」が本当にぴったりでした。

泉並:元々、大好きな曲だったのもありますし、今の状況に歌詞が本当にぴったりで、今の私たちの気持ちを代弁してくれているのではないかと思い使用させていただきました。「クソッタレの世界のため」「君や僕や彼等のため」「明日には笑えるように」。コロナ禍によって多くの人の夏が終わらせられているような状況ですが、いや、「終わってない」というメッセージを最後に残したいと思いました。また、制作前に今の高校生たちにアンケートを取ったんです。文化祭もなくなり、大会もなくなり、楽しみにしていたライブもなくなった。彼らはそんな状況を「仕方ないです」と。それが本当に切なかった。でも、「仕方ない」で片付ける必要はないと思いますし、そこまで賢くならなくてもいい。薫と香が2人なりのこのときにしかない夏の時間を過ごしたように、今この時間を形を変えてかけがえのないものにしてほしい。本作を観てそんなことを思うきっかけになってもらえたらと思います。

■放送情報
大阪発ショートドラマ 『これっきりサマー』
NHK総合にて、連続5話放送
8月17日(月)~21日(金)20:42〜(※第1~3話は2分、4・5話は3分) (関西地域)
[再放送]同日23:40~(※19日(水)は再放送なし、20日(木)に第3・4話をまとめて再放送)(関西地域)
【まとめ版】
8月22日(土)13:50~14:00(10分まとめ版) (全国放送)
8月29日(土)18:35~18:45 (10分まとめ版) 、8月30日(日)11:00~11:15(15分特別版)(関西地域)
作:木皿泉
出演:岡田健史、南沙良、一木美貴子、村上ショージ
制作統括:内田ゆき
演出:泉並敬眞
制作・著作:NHK大阪拠点放送局
写真提供=NHK

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