共産圏の権力暴走が招いた惨状が 『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』新場面写真公開

 8月14日公開の映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』より、新たな場面写真が公開された。

 本作は、秘密主義の独裁国家に潜入した実在のイギリス人ジャーナリストの闘いを描いたサスペンスドラマ。1933年、ヒトラーに取材した経験を持つ若き英国人記者ガレス・ジョーンズが、スターリンが統治するソビエト連邦の繁栄の謎を解くために単身モスクワを訪れ、想像を絶する現実を目の当たりにしていく。

 主人公ガレス・ジョーンズを演じたのは、TV『グランチェスター 牧師探偵シドニー・チェンバース』やNHKでも放送されたBBC制作ドラマ『戦争と平和』で主演を務めたジェームズ・ノートン。そして、ニューヨーク・タイムズのモスクワ支局に勤める女性記者エイダを『ザ・クラウン』『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』のヴァネッサ・カービー、ニューヨーク・タイムズのモスクワ支局長ウォルター・デュランティを『ニュースの天才』『フライトプラン』のピーター・サースガードが演じた。『僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ』『太陽と月に背いて』『ソハの地下水道』のアグニェシュカ・ホランド監督がメガホンを取った。

 公開された場面写真では、新聞に載ったジョーンズの記事やウクライナ潜入を試みるジョーンズの姿が切り取られている。

 肥沃な大地だと言われていた凍てつくウクライナに主人公・ジョーンズは、ソ連の監視下を滑り抜け潜入。そこで、人々が餓えに苦しむ姿、路肩には死体が転がり、痩せた子供たちが獲物を狙っている戦慄の光景を目にすることになる。スターリン政権の、ウクライナで生産された穀物などの食糧の搾取による惨状に衝撃を受けたジョーンズは、“偽りの反映”を告発するために各所に呼びかけるも、なぜかこの衝撃的なニュースは信憑性がないと言われ取り扱ってもらうことができず、現代でも知らない人が多くいるという。

 その理由は、スターリンの徹底した国外への情報流出管理と、当時の時代背景。ナチスドイツが台頭してきた当時、ヒトラーに対抗させるための思惑として、イギリスはソ連と組むべきだと考えていたために、現地の惨状がソ連国外に漏れ伝わらないよう、スターリン体制は、国際的な世論・評価を操作する情報、今で言うフェイクニュースを意図的に流すなど情報操作に徹底していた。劇中では、ニューヨーク・タイムズのモスクワ支局長でさえも、人々が餓えている事実に目を瞑っていた描写もある。

■公開情報
『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』
8月14日(金)新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国公開
監督:アグニェシュカ・ホランド
脚本:アンドレア・チャルーパ
出演:ジェームズ・ノートン、 ヴァネッサ・カービー、ピーター・サースガード
配給:ハピネット
配給協力:ギグリーボックス
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