香川照之、市川猿之助、尾上松也、片岡愛之助 『半沢直樹』に送り込まれた歌舞伎界の“刺客”たち

 そして大トリは金融庁検査局・黒崎駿一役の片岡愛之助。前作に引き続き、あの特徴的な口調で作品に多大なインパクトを与えるのは間違いない。

 歌舞伎の世界での愛之助の経歴もある意味、突き抜けている。製造業を営む両親に育てられ、子役として活動するうちに二代目・片岡秀太郎の養子となって片岡愛之助を襲名。歌舞伎の舞台で活躍しながら、大河ドラマ、朝ドラに加えて『勇者ヨシヒコ』シリーズ(テレビ東京系)まで映像での演技の幅は無限大だ。黒崎の真面目にやればやるほど面白いあのキャラクターのバージョンアップにも期待したい。

 大河以外でこれほど歌舞伎俳優が出演するドラマは『半沢直樹』だけである。その1番の理由は「作品全体の熱量の高さ」だろう。通常の150%のテンションで進行する俳優たちの演技合戦。一瞬でデフォルメした芝居を成立させ、尚且つドラマ全体に漂う時代劇感を具現化するのに歌舞伎俳優の存在は欠かせない。

 アップ多用の画面で、彼らが顔芸を駆使して決めぜりふを語るたび、私たちは画面に向かって心の中で叫ぶのだ。

「よっ、待ってました、半沢屋!」

■上村由紀子
ドラマコラムニスト×演劇ライター。芸術系の大学を卒業後、FMラジオDJ、リポーター、TVナレーター等を経てライターに。TBS『マツコの知らない世界』(劇場の世界案内人)、『アカデミーナイトG』、テレビ東京『よじごじDays』、TBSラジオ『サキドリ!感激シアター』(舞台コメンテーター)等、メディア出演も多数。雑誌、Web媒体で俳優、クリエイターへのインタビュー取材を担当しながら、文春オンライン、産経デジタル等でエンタメ考察のコラムを連載中。ハワイ、沖縄、博多大吉が好き。Twitter:@makigami_p

■放送情報
日曜劇場『半沢直樹』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堺雅人、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、賀来賢人、今田美桜、池田成志、山崎銀之丞、土田英生、戸次重幸、井上芳雄、南野陽子、古田新太、井川遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也(特別出演)、香川照之、江口のりこ、筒井道隆、柄本明
演出:福澤克雄、田中健太、松木彩
原作:池井戸潤『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)、『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎ほか
プロデューサー:伊與田英徳、川嶋龍太郎、青山貴洋
製作著作:TBS
(c)TBS

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