『半沢直樹』賀来賢人や今田美桜ら新キャストに注目 吉沢亮の再登場はあるのか?

『半沢直樹』賀来賢人ら新キャストに注目

 今田演じる瞳はドラマオリジナルのキャラクターだ。今年1月3日に放送されたスペシャルドラマ『半沢直樹イヤー記念・スピンオフ企画〜狙われた半沢直樹のパスワード〜』(TBS系)では、新入社員として新システム導入プロジェクトに関わり、半沢の倍返しのスピリットを継承した。今田は、2015年のドラマデビュー以来、『僕たちがやりました』(カンテレ・フジテレビ系)、『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)など話題作に出演。意思を秘めた目力が強い印象を与える若手女優の一人だ。8月からは『親バカ青春白書』(日本テレビ系)に、永野芽郁演じる小比賀さくらの親友役での出演も決まっている。

 半沢と同じ出向組では、角田晃広(東京03)が三木重行役で登場する。東京03のステージでもサラリーマンを演じ、バラエティ番組で自作曲を披露する角田は俳優としても活動中。『もみ消して冬〜わが家の問題なかったことに〜』(日本テレビ系)のラーメン店主や『これは経費で落ちません!』(NHK総合)の経費で落としまくる営業部長など、独特の味わいで異彩を放ってきた。今作の三木は出向組の上司の「腰巾着」という役どころだが、ペーソスとおかしみを感じさせる角田の演技が、どんな波乱を巻き起こすか注目だ。

 「片道切符」とも呼ばれる銀行からの出向だが、プロパー組から見れば出向組はあくまで銀行の人間。籍を置いている以上、銀行の利益を損なうわけにいかず、うまくすれば銀行に戻れる可能性もある。この辺りの微妙なサラリーマン心理と、出向組とプロパー社員の温度差が物語の帰趨にも影響を与える。

 今回、半沢が手がけるのは企業買収。IT企業「電脳雑伎集団」社長の平山一正(土田英生)と美幸(南野陽子)夫妻から、検索システムを開発する「スパイラル」の買収を持ちかけられる。『ロスジェネの逆襲』のポイントは世代間の対立だ。バブル世代の平山と就職氷河期世代であるスパイラル社長の瀬名洋介(尾上松也)の対立は、ITの覇権をめぐる世代間の争いでもある。

 前作で、半沢はバブル入行組の渡真利や、近藤直弼(滝藤賢一)と連携することで、銀行内の不正に立ち向かった。ロスジェネを含む若い世代と半沢の共闘は、あらためて「誰の、何のための倍返しか」という命題に目を向けさせる。銀行からは、中野渡の失脚を狙う副頭取の三笠洋一郎(古田新太)や、大和田の“愛弟子”で証券営業部部長の伊佐山泰二(市川猿之助)たちが、半沢の前に立ちはだかる。半沢は銀行の外からの倍返しに挑むことになる。

 最後に、スピンオフで主役の高坂圭を演じた吉沢亮についても触れておこう。スパイラルの若手プログラマーとして、あっと驚く奇策で社内の不正を見破った高坂が、ここぞという場面で半沢の前に姿を見せることを期待したい。吉沢は2021年大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)の主人公に決まっており、『真田丸』(NHK総合)で主演を務めた堺との共演が実現すれば大きな話題になるだろう。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
日曜劇場『半沢直樹』
TBS系にて、7月19日(日)スタート 毎週日曜21:00~21:54放送 ※初回25分拡大
出演:堺雅人、上戸彩、及川光博、片岡愛之助、賀来賢人、今田美桜、池田成志、山崎銀之丞、土田英生、戸次重幸、井上芳雄、南野陽子、古田新太、井川遥、尾上松也、市川猿之助、北大路欣也(特別出演)、香川照之、江口のりこ、筒井道隆、柄本明
演出:福澤克雄、田中健太、松木彩
原作:池井戸潤『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)、『半沢直樹3 ロスジェネの逆襲』『半沢直樹4 銀翼のイカロス』(講談社文庫)
脚本:丑尾健太郎ほか
プロデューサー:伊與田英徳、川嶋龍太郎、青山貴洋
製作著作:TBS
(c)TBS

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