長澤まさみ×阿部サダヲ×奥平大兼の3人が挑んだ難役の裏側 映画『MOTHER マザー』を語り合う

長澤×阿部×奥平が『MOTHER』を語る

奥平「もともとは、俳優の仕事をやりたいとは思っていなかった」

ーーお芝居も生々しくてすごくリアルでした。

阿部:なんであんなにリアルにできるの?

奥平:何も分からないので、考えたらダメだなと思って。とりあえず自然にやろうと思っていました。

阿部:すごいよね。

奥平:よかった……んですかね?

阿部:いいと思いますよ。僕は周平が坊主になってからを知らなかったから、その後もすごくよかった。坊主の方が良いかなぁ。

奥平:じゃあまた坊主にします!

長澤:髪型の問題?(笑)

一同:(笑)

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ーー特に役作りもしなかったということですよね。

奥平:食事制限はしたんですけど、お芝居の経験がなかったので、役作りのためにこうしなきゃっていうのがまずわからなかったんです。監督から「周平として自然に思ったことを表現すればいいよ」と言われたので、指示どおりにしました。

長澤:この作品で、もう俳優やるって決めたんだもんね?

阿部:あ、決めたの? 空手はもうやらない?

奥平:空手はちょっともう……。

長澤:撮影中も、友達に何も言えなかったんだよね。

奥平:何も言わずに急にいなくなって、戻ってきたらいきなり坊主になってる、みたいな(笑)。

長澤:おもしろいよね(笑)。

ーーこの作品の撮影をしているときまでは、今後俳優でやっていこうというのは決めていなかった?

奥平:あまり考えていなかったですね。もともとは、そこまで俳優の仕事をやりたいとは思っていなかったんです。でも、実際にやってみたらすごく楽しくて。撮影が終わってから今後も俳優のお仕事を頑張ろうと思いました。

阿部:きっとそういう人が向いてるんですよね。

ーー逆に長澤さんと阿部さんは今までやられたことのないような役柄だったと思います。それぞれ秋子と遼を演じるにあたって、何か今までと違うアプローチはされましたか?

長澤:本当に今までやったことのないような役柄だったので、自分のアプローチ以前に、この人をどう理解すればいいんだろうと毎日悩んでいました。ただ怒って泣きわめいてる人になっちゃうと、それはちょっと意味が違うなと思っていたので、秋子のことは到底理解できないんですけど、物語の中の人として、その思いを掴めたらなと思って日々向き合っていました。

阿部:僕は、お客さんが見て「こいつ嫌だな」と思う人にしたいなと思っていました。でも実際、遼という人物が何者なのかよくわからないんですよね。どういうところで育てられたのかもわからないし、名古屋でホストをやってるって言っても、本当にそうなのかわからない。実態がよくわからない人だから、観客の皆さんが「こいつムカつく」「なんなのこの人」って思ってもらえれば、芝居としては成功かなと思います。実際に僕も完成した映画を観て、暴力シーンで嫌な気持ちになったので、たぶん……成功したのかなと思います。

ーー確かに嫌な気持ちになるシーンが多かったです。

阿部:自分でも嫌でしたから。自分の親とかはちょっと観ないでほしいと思ったくらいです。途中で「もう出てこなくていいよ!」って思いますから。

長澤:(笑)。

ーーダンスシーンもすごく印象的でした。

長澤:阿部さんが大好きなシーンですよ! 阿部さん、そのシーンにすべてをかけてましたもんね(笑)。

阿部:そうですね……(笑)。一番難しかったです。

ーーあのシーンは脚本どおりなんですか?

阿部:後半は書いてなかったんじゃないかな?

長澤:後半は書いてなかったです。監督から「ここも踊ってほしいんです」って言われたとき、すごく嫌そうでしたよね(笑)。

阿部:そうそう(笑)。最初の方にゲーセンでもダンスをやってて、あまりできなかったのでそれすら嫌だったんですけど、監督が「お別れのダンスを……」みたいな感じでおっしゃったんですよね。

長澤:(笑)

ーー(笑)。でもすごくいいシーンだったと思います。

阿部:ほんとですか? あれは怖かったな……。

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ーー長澤さん、奥平さんはあのシーンいかがでしたか?

長澤:台本を読んでるときは、すごく楽しみなシーンだったんです。ちゃんとした踊りというよりかは、人が能動的に動いている感じがダンスをしているように見えるという印象で、すごくいいシーンだなと思っていて。でも、やる方は本当に大変だろうなと思っていました。実際、阿部さんがすごく恥ずかしそうだったし、その気持ちはわかるし、私があの立場にいたら、本当にやりたくない(笑)。

奥平:僕はそのシーンを撮影しているとき現場にいなかったんですけど、皆さんから「阿部さんのダンスがおもしろい!」と聞いていたので、すごく楽しみにしてました。完成した作品を実際に観てみたら、予想していなかったところでそのシーンが来たので、観ながら笑ってしまいました。

長澤:笑っちゃったんだ(笑)。

阿部:大人になったらああいうこともやるんだよ!(笑)

奥平:恥ずかしいですね……(笑)。

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