V6 長野博が『ハケンの品格』で見せた優しく温厚な瞳 S&Fは“泥舟”と化す

 春子(篠原涼子)の言うところの「泥舟」と化したS&Fは、アルバイト、下請け、正社員と、回を追うごとにシビアに人員を切って前に進む。『ハケンの品格』(日本テレビ系)第6話では、東海林(大泉洋)が、しがらみを考えずに下請けを切ることを目的に本社に呼ばれたことが発覚する。

 AIを導入し、いよいよ本格的なテコ入れを始めるS&Fの状況を見た小夏(山本舞香)や亜紀(吉谷彩子)は、「いずれAIに派遣の居場所を取られてしまうかも」と戦々恐々としていた。だが、一方の春子は変わらず涼しい顔で業務を続ける。下請け会社の隅田フーズが切られることを案じ、奔走する里中(小泉孝太郎)と共に手助けに走るものの、最後には隅田フーズがわざと切られるように仕向ける。そして、「隅田フーズは切られるのではありません。S&Fは素晴らしいお弁当を作ってくれるこの会社を、泣く泣く手放すしかなくなったのです」と言ってのけた。これを機に隅田フーズは、S&Fなくして大口の契約に漕ぎ着ける。こうして春子は、S&Fではなく隅田フーズの方を救うのであった。

 今やS&Fに13年前の面影はない。上り調子の会社でいきいきと働く東海林や里中の姿は過去のこと。切るか切られるかに苦しむ日々ばかりが映し出される。さらには、東海林がリストラの危機にあることを里中が知ってしまう。

 春子を交え3人で歩んできたあの頃の営業部も、ここまでかーー。里中は苦悶の表情を浮かべるのみであった。さらに、東海林自身も自分の立ち立ち居振る舞いに迷い、春子にこっそり心中を吐露する。「相変わらず酷い女だよなあ、ホントに酷い。酷いってわかっていても、やっぱり好きだ! ……いや、会社がだよ、会社」と春子にシーズン1ぶりの告白をしたのかと思えば、東海林が語ったのは意外にも会社への愛だった。

 東海林には未だ消えぬ春子への想いがあることが窺えるが、会社のことを大切に思っているのもまた真実なのだろう。しかし無情にも、会社も春子もなかなか東海林に振り向いてくれない。そしてこのタイミングで、次週はどうやら里中が春子にプロポーズするようだ。“大人の恋愛”はさらに熱を帯び、加速する。里中のプロポーズの真相から目が離せない。

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