『エール』に集ったミュージカル出身俳優たち 第13週は山崎育三郎と古川雄大の邂逅に注目!

 2人のほかにも『エール』には多くのミュージカル俳優がキャスティングされている。「船頭可愛いや」を歌う藤丸役の井上希美は劇団四季出身で『美女と野獣』のヒロイン・ベルに抜擢されたほか、『やすらぎの刻〜道』(テレビ朝日系)では根来家の長女・信子を演じた。関内家の職人頭・岩城としていぶし銀の魅力を放つ吉原光夫も劇団四季の出身。吉原は2011年に帝国劇場開場100周年記念公演『レ・ミゼラブル』で本邦最年少のジャン・バルジャン役を射止めた。第57話で披露した鼻歌は「三河男児の歌」で、『エール』公式サイトでは練習風景を見ることができる。

 音のライバル夏目千鶴子を演じる小南満佑子はジュリアード音楽院の声楽オーディションで最優秀賞を受賞した俊栄。『Endless SHOCK 2016』のリカ役などを経て『レ・ミゼラブル』でプリンシパルキャスト(コゼット役)を担う。また昭和の名歌手・藤山一郎をモデルにした山藤太郎を柿澤勇人が演じている。柿澤も多くの舞台で主演を務める傍ら、映画・ドラマへの出演を重ねている。

 作曲家・古山裕一の歩みを描く『エール』の、もう一方の主役は歌だ。まさに「歌が響くドラマ」と言えるが、主人公のモデルとなった古関裕而は、日本のミュージカル黎明期に劇作家の菊田一夫とのコンビで多くの作品を世に送り出した人物。古関が築いた舞台で育まれた次世代のスターたちが、時代を超えて『エール』に集結している事実は感慨深いものがある。

 才能豊かな歌い手は『エール』に欠かせない存在であり、作曲家にとって二人三脚で進んでいくパートナーでもある。ミュージカル出身俳優たちの本領発揮はこれからだ。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログTwitter

■放送情報
連続テレビ小説『エール』
2020年3月30日(月)〜9月26日(土)予定
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演:窪田正孝、二階堂ふみ、薬師丸ひろ子、菊池桃子、光石研、中村蒼、山崎育三郎、森山直太朗、佐久本宝、松井玲奈、森七菜、柴咲コウ、風間杜夫、唐沢寿明ほか
制作統括:土屋勝裕
プロデューサー:小西千栄子、小林泰子、土居美希
演出:吉田照幸、松園武大ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/yell/

関連記事