『99.9』コメディとシリアスの往復が生む独特の味わい 松本潤と風間俊介の共演も
深山が事件の構図に気付くきっかけとなったのが、静岡の方言「だもんで」。お得意のギャグと思わせておいて、ちゃっかりと物語の核心部に踏み込むトリッキーな種明かしは、『99.9』ならではの秀逸な展開だった。深山と佐田(香川照之)の流血も最初はギャグだが、最後はストーリー上で回収(顧問先の恫喝に対抗する手段)するなど、コメディとシリアスのダブルミーニングが至るところに張り巡らされている。そんな調子だから「いただきマングース」など深山のダジャレもつい深読みしてしまう。これらの“あざとい”演出は一歩間違えれば滑りっぱなしの結果に終わるところ、脱線したと見せかけて一気に物語の本筋に迫る手さばきが『99.9』独特の「味」にもなっている。
刑事専門ルームの一翼を担う立花彩乃(榮倉奈々)も要所要所で腕っぷしときっぷの良さを発揮。メインキャラクターに普通の人が出てこない『99.9』の中でも、特に腹の読めないキャラクターが深山たちの上司で班目法律事務所所長の班目春彦(岸部一徳)だ。第2夜では班目という人物の底知れなさも描かれていた。真実を追求する姿勢を見せつつ、顧問先を変えようと虎視眈々と気を窺う班目には深山父子との因縁もあり、ドラマの進展とともに過去が明かされていくことになる。
■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログ/Twitter
■放送情報
『99.9-刑事専門弁護士- SEASON Ⅰ 特別編』
TBS系にて、6月14日(日)21:00~21:54第3夜放送
出演:松本潤、香川照之、榮倉奈々、青木崇高、片桐仁、マギー、渡辺真起子、馬場徹、映美くらら、池田貴史、岸井ゆきの、藤本隆宏、奥田瑛二、岸部一徳
脚本:宇田学
演出:木村ひさし、金子文紀、岡本伸吾
プロデューサー:瀬戸口克陽、佐野亜裕美、東仲恵吾
トリック監修:蒔田光治
主題歌:嵐「Daylight」(ジェイ・ストーム)
製作著作:TBS
(c)TBS