伊藤健太郎、両親の離婚の経緯を振り返る 『スカーレット』息子が信じた夫婦の繋がり
武志(伊藤健太郎)は喜美子(戸田恵梨香)から自身の病状と余命を聞く。そして、前を向いて治療に専念することを決めるのであった。連続テレビ小説『スカーレット』(NHK総合)第135話では、武志の口から喜美子と八郎(松下洸平)が築いた新しい関係について語られる。
武志の部屋を訪れた喜美子は、武志と他愛もない会話を楽しむ。そんな中、武志は、喜美子と八郎がなぜ離婚に至ってしまったのかを話した。そもそも八郎が次世代展で入賞した作品は、喜美子なしでは作れなかったのではないかと武志は話す。しかし、喜美子は自分一人で穴窯を極め、作品を作ってしまう。こうした作家性の違いから、2人の関係を再構築する上で、お互いに離れて暮らし、時間や距離をあける必要があったと武志は感じていた。武志はこんな見立てをした自分を、“大人になった”からと照れ臭そうに称したが、喜美子は“ものづくりの道を歩んでいる”からと形容する。それはまさに、武志が亜鉛結晶釉を成功させ、作家として歩み始めたことを意味していた。そんな武志に、喜美子は病気と余命について話さなければならなかった。武志の余命は3年から5年だと言う。思わぬ短い命にたじろぐ武志。だが、喜美子は「死なさへん、お母ちゃんが生かしたる」と力強く武志の顔を手で覆った。
喜美子と武志の2人芝居が続いた第135話。喜美子と八郎の離婚で信楽に流れた噂に対して武志がどう感じていたか、そして京都の大学に行ったことが武志をどう変えたかなど、武志は自分の“ものづくり”の原点に回帰するように語る。喜美子は、武志がそんな風に“作家”になっていく姿に、嬉しさと、余命幾ばくもないことへの悔しさを滲ませる。
余命宣告を受け、改めて治療に専念することを決めた武志。前を向いて生きる武志は、新たに表現したいことも見つけた。そんな愛息子の後ろ姿を愛しそうに見つめる喜美子と八郎。2人がこうしてまた夫婦のように一緒にいること、これは武志の言うように時間と距離がそうさせただけではない。武志の存在があってこそ、川原家は結ばれ続けるのだ。
■Nana Numoto
日本大学芸術学部映画学科卒。映画・ファッション系ライター。映像の美術等も手がける。批評同人誌『ヱクリヲ』などに寄稿。Twitter
■放送情報
NHK連続テレビ小説『スカーレット』
NHK総合にて、2019年9月30日(月)〜2020年3月放送予定
出演:戸田恵梨香、伊藤健太郎、稲垣吾郎、松田るかほか
脚本:水橋文美江
制作統括:内田ゆき
プロデューサー:長谷知記
演出:中島由貴、佐藤譲
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/scarlet/