【ネタバレあり】『劇場版ハイスクール・フリート』大和型4隻集合はどう実現した? 監督が語る、戦闘描写の裏側

 1月18日より『劇場版 ハイスクール・フリート』が公開されている。

 本作は、『ストライクウィッチーズ』『ガールズ&パンツァー』などを手がける鈴木貴昭原案のオリジナルアニメーション。“国土水没により海上大国となった日本”という時代背景に合わせ練られた設定と世界観を舞台に、教育艦「晴風」の艦長となった岬明乃をはじめ、艦で共に過ごす仲間たちの豊かな個性や、少女たちの関係性を描き出した。

 そんなキャラクターたちとは一見ミスマッチな艦隊のバトルシーンは、ミリタリーファンも納得の綿密な設定考証に基づき描写されている。TVアニメでも人気だった戦闘シーンは劇場版でどのような進化を遂げたのか。本作の監督である中川淳が、その制作の舞台裏を明かしてくれた。

【本記事は、『劇場版ハイスクール・フリート』のネタバレが含まれます。鑑賞後にご覧ください。】

「なるべくどのキャラクターにも活躍の機会を与えたい」

ーー中川監督ご自身は『ハイスクール・フリート』そのものには初参加ということですが、今回劇場版をどんな作品にしようと思っていたのでしょうか。

中川淳(以下、中川):ただのお祭り映画にはしたくなくて、1本芯の通ったストーリーを描きたいと思っていたのでましろと明乃の物語を全編を通して描いて欲しいと脚本の方々にお願いしました。

ーー本作の1つの特徴として、キャラクターが多いことが挙げられます。1クラスだけで30人いて、TVアニメの段階でも名前を覚えるのに一苦労だった視聴者もいたと思います。その大人数のキャラクターたちを1つの群像劇にまとめあげるのはどのように?

中川:いわゆるモブキャラがいないというのは本作の1つの魅力ですよね。晴風のメンバーは、全員に名前があって、しっかりと生きているので、なるべくどのキャラクターにも活躍の機会を与えたいなという思いがありました。もっと描きたいキャラクターや、加えたいシーンはたくさんあったのですが、ギリギリまで詰めてテンポを上げて完成させました。

ーーどうしても収録できなかったものもあるんですね。

中川:劇場版の新キャラクター、大和型の艦長たちはどうしても尺的に取捨選択がありました。明乃、もえか、ましろを活躍させつつ、大和型の艦長たちをどうするのか。その調整は非常に頭を悩ませたところでもあります。

ーー劇場用パンフレットでは、大和型の艦長の詳細な設定が明かされています。こういったキャラクター一人ひとりのバックボーンは脚本の方と話し合いながら作っていったのでしょうか?

中川:キャラクターたちの設定に関しては、脚本の岡田(邦彦)さんが中心になって考え、そこに鈴木(貴昭)さんやキャラクター原案のあっと先生の意向やエッセンスを加えていきました。大幅にシナリオを削った部分がありますが、その辺りはパンフレットに付属のドラマCDで補完されています。

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