『IT/イット』『ソウ』のホラー最前線製作チームが贈る 『アナベル 死霊博物館』でパワーアップしたシリーズの醍醐味

ホラー最前線製作チームが贈る『アナベル』

 そして本作を固めるのは4人の少女だ。心霊能力者の母の血のせいか、幽霊が見えるジュディ。彼女はその力ゆえに孤独と恐怖に苛まれている。そんなジュディを力強く励ますのがメアリーだ。真面目で、華やかで、常にポジティブ。それでいて嫌味がないのが凄い(演じるアイズマンは『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2017年)でもヒロインを務めている)。そして悪友のダニエラだ。死霊博物館を解放するトラブルメイカーだが、ただの「余計なことをする人」には収まりきらない、憎めなさがある。この人間の少女3人のワチャワチャを見ているだけでも楽しい。とは言え、やはり本作で最も目立つ少女はアナベル人形その人だろう。今やアナベルは単なる1ホラー映画のキャラクターを超えて、かつてジェイソンやフレディ、レザーフェイスやジグソウがいたポジションに鎮座している。ホラー映画界のビッグスターらしく、観客の期待に応えるように、今回も堂々とした存在感を発揮。数ある心霊グッズを従えて、少女3人に執拗な嫌がらせを敢行する。なおアナベル人形は実在する呪いの人形であり、実際に人が何人か死んでいる。ただ今のところワンが原因不明の奇病にかかったとか、そういう話は聞かないので、たぶん今の扱いを嫌がってはいないのだろう。たぶん。

(c)2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 魅力的な登場人物と、サービス精神の塊である作り手。この2つの要素だけで、本作は成功が約束されていると言えるだろう。舞台はビックリするくらい家の中だけだが、106分間、何度も“ギャー!”と絶叫できるし、時には笑ってしまうこともある。そして、見終わったあとはスッキリ爽快。冬の夜に家族や友達でギャーギャー叫びながら見たい1本である。オバケ屋敷に行きたいけど遊園地に行くのが寒くて大変という人には、是非オススメしたい1本だ。

■加藤よしき
昼間は会社員、夜は映画ライター。「リアルサウンド」「映画秘宝」本誌やムックに寄稿しています。最近、会社に居場所がありません。Twitter

■リリース情報
『アナベル 死霊博物館』
2020年1月22日(水)ブルーレイ&DVD 発売
価格:4,980円(税込)

<映像特典(計32分)>
・恐怖ができるまで(フェリーマンと悪魔、血だらけの花嫁、狼男)
・保管室とオカルト
・役柄について
・未公開シーン集
※DVDは「恐怖ができるまで(狼男)」のみ収録

DVDレンタル、デジタルレンタル同時開始
デジタル先行配信中
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
(c)2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/annabelle-museumjp/

監督・脚本:ゲイリー・ドーベルマン
製作:ジェームズ・ワン
出演:マッケナ・グレイス、マディソン・アイズマン、ケイティ・サリフ、パトリック・ウィルソン、ヴェラ・ファーミガほか
原題:Annabelle Comes Home
配給:ワーナー・ブラザース映画
2019年/アメリカ/カラー/デジタル/英語/映倫指定:G

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