上白石萌歌、広瀬アリス 女優のMC業はどう影響する?

 ドラマや映画、CMなどで活躍する女優が、テレビ番組でMCを務める姿を多く見るようになった。『A-Studio』(TBS系)で笑福亭鶴瓶とMCを務めるのは、歌や芝居で注目を浴びる若手女優・上白石萌歌だ。本番組は2009年からスタートしているが、2012年に本田翼がMCに就任してから、波瑠や森川葵、川栄李奈など女優としての演技力が評価される若手が抜擢されている。さらに『アナザースカイ』シリーズ(日本テレビ系)では、過去に中条あやみ、現在は広瀬アリスがMCを務める。こちらも瀧本美織の抜擢から、広瀬までは新進気鋭の若手女優がMCを務めている。このように、昨今は女優がMCを務める機会がぐんと増えた。

 年末の『紅白歌合戦』(NHK総合)では、2018年に、朝ドラ100回目のヒロインを記念して広瀬すずが紅組司会に就任。今年は『いだてん ~東京オリムピック噺(ばなし)~』にも出演した綾瀬はるかが、4年ぶり3回目、そして令和初の紅組司会という大役を担った。これまでの紅組司会でも、綾瀬の天然ぶりはSNSで話題になった。完璧でつつがない進行、とは言えないが、綾瀬の進行には独特の魅力があり、ほんわかとした印象と、明るい笑顔がチャーミングで、老若男女が観る紅白歌合戦の舞台に適していたのではないだろうか。

 こうした女優たちのMC業は、彼女たちのパーソナルな部分にフォーカスできる重要な機会だ。芝居では本人たちの“生の声”を聞くことはできないが、このような活動からは誰かとの対話を通してその女優の“考えや意見”を聞くことができる。もちろんそれゆえに、内面から美しい女優のみが評価される厳しい世界だ。しかしこうした試みが、芝居以外の場所でのファン獲得につながっていることは確かだろうし、地上波での露出が増えると知名度も上がりやすい。さらに昨今ドラマや映画もSNSでのプロモーションが増え、コンテンツの一環としてトーク力や人当たりの良さが重視される。そういったフリートークのスキルこそが、芸能界をサバイブするのに重要なポイントとなるだろう。普段見ることのできない素に近い姿を見ることができるのも、MC業の魅力だ。

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