『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』のココに期待! 公開後もコンテンツは盛りだくさん
その一方、ディズニーはスター・ウォーズの世界観を使ったドラマ・シリーズを積極的に展開していきます。新たに始めた配信サービス<Disney+>(日本ではDisney DELUXEで対応)用にまず『ザ・マンダロリアン』がスタート。これは惑星マンダロアに住む武闘派一族マンダロリアンの活躍を描きます。このマンダロリアン特殊なアーマーに身を包んでいます。このアーマーこそボバ・フェット、ジャンゴ・フェットのそれです。スター・ウォーズの中でも人気の高いボバ・フェットのイメージに注目したドラマで、設定的には『ジェダイの復讐(帰還)』から5年後。このドラマに登場するとされる、ヨーダと同種のエイリアン、通称ベビー・ヨーダの愛らしさも話題になっています。
ボバ・フェットのスピンオフ映画が作られるハズだったのがキャンセルになり、がっかりしたファンにとっては吉報でしょう。僕もデザイン的にはボバ・フェットがスター・ウォーズのキャラの中で一番かっこいいと思います。その他、ユアン・マクレガー出演で若きオビ・ワン・ケノービを描くシリーズ、さらに『ローグ・ワン』の主人公の一人キャシアン・ジェロン・アンドーを主人公にしたシリーズも予定されています。
もともと『ファントム・メナス』から始まる3部作は、オビ・ワン・ケノービに重きをおいた作品になるとも言われていましたが、結果的にアナキンの物語でした。なのでこういう形で、オビ・ワン・ケノービが主役のドラマが見られるのは嬉しい。また『ローグ・ワン』は、スピンオフながら“本作を最も好きなスター・ウォーズ映画”というファンも少なくなく(僕もその一人)、期待が高まります。
最後に僕なりに思う『スター・ウォーズ』というコンテンツの功績と思い出にふれさせてください。僕は『スター・ウォーズ』の日本公開の初日に参加した思い出があります。『スター・ウォーズ』は1977年公開ですが、日本公開はまるまる1年遅れの1978年でした。なので『スター・ウォーズ』の公開年は1977年表記と1978年表記があるのです。なぜ1年遅れたかというと、当時、アメリカで夏にヒットした映画が日本では正月映画、みたいなパターンが多かった。『ジョーズ』がまさにそれでした。『スター・ウォーズ』も『惑星大戦争』という邦題で1977年末つまり1978年に向けての正月映画の予定だったそうですが、アメリカで大ヒットし、より興行力の高い夏休み興行にしようということになったみたいです。
この時代はビデオとかないし、当然ネットや動画サイトもないので、1年公開が遅れてもネタバレとか海賊版が出回るというリスクはなかったんですね。僕は6月24日の、日劇に観に行ったことを覚えています。映画自体も楽しかったですが、すごいお祭りが始まった感じがしてその雰囲気を含めて好きでした。すごく大雑把に言うと『スター・ウォーズ』の成功はいわゆるオタク文化を「あり」にしたことではないでしょうか?
実は日本では1977年に『宇宙戦艦ヤマト』の劇場版が異例の大ヒットとなり、アニメ・ブームが起こります。アニメも特撮を使ったSF冒険ものはファミリー映画、子ども向けというイメージがまだ強かった時期に、こういうものを若者や大人が楽しんでもいいんだ、みたいな雰囲気を作ってくれたことでしょう。あの時『スター・ウォーズ』や『宇宙戦艦ヤマト』がヒットしていなかったら、いまのマーベル映画や『天気の子』みたいな社会現象となるアニメ映画は生まれなかったんじゃないかな。そういう意味でも『スター・ウォーズ』に対して、感謝とリスペクトがあります。映画をフォースが見ていることを信じつつ、12月20日が楽しみです!
※記事初出時、本文に誤表記がございました。お詫びして訂正いたします。
■杉山すぴ豊(すぎやま すぴ ゆたか)
アメキャラ系ライターの肩書でアメコミ映画に関するコラム等を『スクリーン』誌、『DVD&動画配信でーた』誌、劇場パンフレット等で担当。サンディエゴ・コミコンにも毎夏参加。現地から日本のニュース・サイトへのレポートも手掛ける。東京コミコンにてスタン・リーが登壇したスパイダーマンのステージのMCもつとめた。エマ・ストーンに「あなた日本のスパイダーマンね」と言われたことが自慢。現在発売中の「アメコミ・フロント・ライン」の執筆にも参加。Twitter
■公開情報
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
12月20日(金)全国ロードショー
監督・脚本:J・J・エイブラムス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
公式サイト:https://starwars.disney.co.jp/movie/skywalker.html