桜庭ななみ、大人の女性を今後どう演じる? 『スカーレット』の“飛び道具”直子役で初めての挑戦

 巧妙に組み立てられた脚本、役者陣の見事なアンサンブルによって、回を重ねるごとに面白さを増している朝ドラ『スカーレット』(NHK総合)。現在は喜美子(戸田恵梨香)が八郎(松下洸平)との結婚を認めてもらうため、父・常治(北村一輝)と“攻防”する様が描かれている。そんな喜美子の味方の1人である妹・直子を演じているのが桜庭ななみだ。

 しっかり者の長女・喜美子、穏やかで優しい三女・百合子(福田麻由子)に対して、直子は自由奔放でわがままな性格。父・常治を最も嫌っているのが直子であり、最も似ているのも直子と言える。桜庭は、出演シーンは少ないながらも直子として視聴者にインパクトを与え続けている。ライターの麦倉正樹氏は、桜庭の出演作を振り返りながら次のように語る。

「桜庭さんと言えば、2010年から2018年までイメージキャラクターを務めていた『三菱地所』のCMの印象が非常に強いです。『三菱地所を、見に行こう~』と歌いながら走る姿から、天真爛漫という言葉がぴったり合う女優さんだと感じていました。明るいキャラクターという点では、2011年公開の映画『天国からのエール』の演技も良かったですね。劇中では高校生バンドのボーカル&ギターとして、実際に演奏・歌唱も行い、青春のきらめきを見事に体現していました。一方、数々の賞を受賞した映画『最後の忠臣蔵』では、凛とした美しさで、こんなに時代劇が似合う女優さんだったのかと驚かされました。杉田成道監督は、吉永小百合さんや夏目雅子さんのようなイメージの女優さんを求めていたそうですが、確かに桜庭さんも2人に共通する“品の良さ”が備わっていると思います。昨年のNHK大河ドラマ『西郷どん』でも、西郷隆盛(鈴木亮平)の妹・市来琴として、芯の強さを持った女性を好演していました。いい意味で垢抜けない素朴さがあり、所作や佇まいに美しさがあるところが、時代劇にハマるのかもしれません」

 『進撃の巨人ATTACK ON TITAN』『マンハント』など、異色作にも出演しながら順調にキャリアを重ねてきた桜庭だが、『スカーレット』の直子役は彼女にとって初めての挑戦になるのでは、と麦倉氏は続ける。

「元気な役、勝ち気な役柄はこれまでも演じていたと思いますが、直子のように“スボラ”な役は初めてではないでしょうか。直子は3歳のときに空襲で一人取り残された記憶がトラウマになっているという設定がありますが、彼女のわがままな性格も、妙に人間味があり切なく愛おしく感じるときがあります。常治と怒鳴り合うシーンが象徴的なように、作品の中の飛び道具的存在として非常にうまく機能していると感じます。

関連記事