『モトカレマニア』恋人とよりを戻したあとはどうなる? 永遠の「元カレ元カノ問題」を考える
そして、元カレ問題を厄介にする一番の要因が、むぎ(田中みな実)も指摘していた通り「執着」である。過去に仮定形を持ち込むという話もそうだが、それが行き過ぎると純粋な恋心や後悔、反省を越えてもはやそれは「執着」という化け物に変貌を遂げる。その裏には「ここまで自分の時間や労力を割いたのだから何とか結果を残したい、正解だったと思いたい、回収したい」という打算的で自分本位な気持ちが先行している。自身の過去の振る舞いを悔いるのではなく、相手の過去の言動に責任を求め出し、「あの時言ってくれたあの約束は嘘だったのか」「あの時ああ言ったくせに」という不毛な言いがかりをつけ始めることさえある。こうなった時の女性というのは浅ましく、もう手に負えないものだ。憑き物がとれるまで時間が過ぎるのを待つより他ないのだが、過去へのリベンジでもある元恋人との復縁願望の裏には「執着心」が結構な確率でセットされていることが多い。執着心というのは恐ろしいことに、関わる時間が長ければ長いほど輪をかけて増幅していくことにも注意が必要だ。
ユリカもマコチとの再会から散々な目に遭いながらも、また互いに惹かれ合っていく訳だが、往往にして「思い出は美しい」「喉元過ぎれば熱さ忘れる」が真理であり、人は脳内で過去をエフェクト加工しドラマチックに美化しがちであることにいつも自覚的でありたいものだ。
元カレとよりを戻してハッピー、というだけでは終わらないのであろう最終話、ユリカのこの5年間の集大成としてその決断を見守りたい。
■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで2018年の劇場鑑賞映画本数は96本。Twitter
■放送情報
木曜劇場『モトカレマニア』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:新木優子、高良健吾、浜野謙太、田中みな実、よしこ、森田甘路、関口メンディー、加藤虎ノ介、大地、大倉空人、井上翔太、趣里、小手伸也、山口紗弥加ほか
原作:瀧波ユカリ『モトカレマニア』(講談社『Kiss』連載)
脚本:坪田文
プロデュース:草ヶ谷大輔
演出:並木道子、相沢秀幸
制作著作:フジテレビジョン
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/motokaremania/
公式Twitter:https://twitter.com/motokare_mania
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