新田真剣佑、二世俳優から抜きん出た存在に 『同期のサクラ』で両立するスター性と職人気質な一面

 奥田瑛二を父に持つ安藤サクラや、故・角替和枝と柄本明を両親に持つ柄本佑、父に三浦友和を持つ三浦貴大などの“二世俳優”たちが現在の映画界の一翼を担っているが、彼らに続く存在の一人に新田真剣佑がいる。彼が日本を代表する映画スター・千葉真一の息子であることは広く知られているところだが、放送中の『同期のサクラ』(日本テレビ系)での新田が演じる役どころも、“有力者”を父に持つ若者だ。

 『同期のサクラ』で新田が演じているのは、高級官僚の父と兄を持つ木島葵。彼は勉強にしろスポーツにしろ、兄より劣っていることをコンプレックスに感じていたが、花村建設に入社し、同期の北野サクラ(高畑充希)や仲間たちとの関係を育んでいく中で、この呪縛から解放された。フレッシャーズ時代、入社早々に「社長になる!」と『ONE PIECE』のルフィよろしく声高に叫んでいたが、これも父や兄に認められたい一心から出ていた言葉。今は地に足をつけて一つひとつの仕事にあたっているようである。

『同期のサクラ』第2話より(c)日本テレビ

 冒頭で述べたように、新田は“あの千葉真一”の息子だが、彼が父親の存在をどのように捉えているのかは実際のところ知りようがない。尊敬や、あるいは畏怖の念があり、仮にそれを彼自身がどこかで語っていたとしても、真実は本人の中にしかないはずである。もちろん、筆者だけでなく多くの映画ファンが、“千葉真一の息子”などという重責には耐えられないだろう……。これは千葉が日本のみならず、世界的な大スターだということもある。それほどまでに千葉真一とは、超大で強大な存在なのだ。

 こうして見ると、木島葵というキャラクターと新田の置かれている環境は似ているように思えるが、もはや新田に“千葉真一の息子”という肩書きは無用だろう。というより、今作での好演以前に、もっと前から無用である。

『同期のサクラ』第5話より(c)日本テレビ

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