『おっさんずラブ-in the sky-』「好き」に正直になった四宮 一方、春田も成瀬に告白するが……

 四宮要(戸次重幸)とは、自分の幸福よりも他人の幸福を願う、聖人のような人だ。好きな人がいても闇雲に想いを伝えることはせず、いくら心を乱されることがあっても、何事もなかったかのように料理をつくる。嫉妬心を抱えながら、それをコントロールしようと踏んばる人。『おっさんずラブ-in the sky-』(テレビ朝日系)第5話は、そんな四宮のもとに、10年前に離婚した元妻との子ども・翼がやってくるところから始まる。

 しかし、四宮は翼に会おうとしない。彼の行動原理からすればその意図は明白で、今さら元妻や息子の邪魔をしたくないし、会う権利なんかないと思っているのだ。自分の恋愛対象が男性であることを知り、妻と子どもが家から突如出ていってしまった10年前の記憶が、重い十字架として彼の行く末を阻んできたのだろう。そうした“幸せになることを諦めている”ような素振りは、これまでも春田(田中圭)への態度において何度も示されてきた。そんな四宮の感情にも、実際に息子や元妻に会うことによって変化が現れる。

 「今回はじめてお父さんの仕事を近くで見られました。決して派手な仕事じゃないかもしれないけど、お父さんは自分の仕事に誇りを持っていて、それがとってもかっこいいと思いました」父親の仕事ぶりというのは、まさしく四宮の生き様そのものを現しているから、その“誇りをもって生きる姿”を肯定する息子の言葉は強く響くものだ。そして翼は最後にこう締めくくる。「パイロット、CA、整備士、たとえみんなの顔が見えなくて、離れていても、心は一つにつながっているんだと思いました」整備士の父親に、元CAの母親、翼は将来パイロットをめざす。たとえバラバラになっても、僕たちは心の奥底でつながっているんだ、という未来への希望。

 さらに元妻は、「私、要と結婚したことに後悔してないよ。要も幸せになってね」と言う。過去の十字架を取っ払っていまを生きることを促すような言葉だ。そうしてこれまでの雑念を振り切った四宮は、春田へと自分の感情をまっすぐ伝えるに至る。

 第5話のメインテーマとは“想いの連鎖”だったのかもしれない。春田の場合は、緋夏(佐津川愛美)からの想いや嫉妬を受けることによって、今一度自分の感情を見つめ直し、成瀬(千葉雄大)への想いの正体に気づく。「俺じゃダメか?」と問い、「ダメです」と断られてしまったあとにとった春田の衝動的な所作と、それに対する後悔のようなもの。この心がめちゃくちゃに張り裂けそうな状態こそが、「人を好きになる」ということなのだろう。

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