『G線上のあなたと私』インタビュー

『G線上のあなたと私』主婦役が好評 松下由樹「“演じる”というより“幸恵さんに会いたい”って思ってもらえたら」

「“演じる”というより“幸恵さんに会いたい”って思ってもらえたら」


――長いキャリアの中でシリアスな作品から、バラエティのコントまで、これまで数多くの役柄を演じてこられましたが、その振り幅の広さに毎回圧倒されます。演じ分けるときに意識されていることはありますか?

松下:いつも「その人物を演じる」というより、「そこにいる人として見てもらえたらいい」と思っています。今回だったら「幸恵さんが気になる」とか「幸恵さんにまた会いたいな」という感じになってもらえたらって。それはどの役も同じです。まぁ、「もう会いたくないな」っていうキャラクターもいるかもしれませんけど(笑)。

――確かに松下さんの演じるキャラクターは、ドラマが終わったあともどこかで生活しているようなイメージがあります。そう感じさせるポイントや秘訣のようなものはあるのでしょうか?

松下:ひとことではうまく言えないのですが、「集中力」でしょうか。「お芝居をする」ということには変わりないのですが、そこにちゃんとハマるかどうかが大事だと思います。例えば、コントだったら、数分間っていうすごく短いシーンで、その人の特徴をボンッて瞬間的に見せなくちゃいけない。「いるいる、こういう人!」って思ってもらえるように。一方で、連続ドラマは1時間×10話かけてじっくりと「ああ、この人本当にこういう人だったんだ」って行き着くように持っていく。そのストンとみんなが腑に落ちるところまで、どうやって持っていくのかが、楽しいところであり、難しさでもありますね。

―― なるほど。私だとライターなので、ギュッと短い文でドーンと伝えるときと、じんわりと伝わるように長い文章を構成していくときと似ているなと思いました。情報の濃縮加減が違うというか、使う筋肉が違うというか。

松下:そうそう。でも演じるとか、書くとか、表現するという意味では変わらないですよね。舞台でも、テレビでも、映画でも、ドラマでも、コントでも。でも、やっぱり難しいですよね。いかにどういう特徴を掴んで、それを「あるある」ってみんなに思ってもらえるようにまでするのは。

「ドラマオリジナルの展開の広がり方を楽しんもらいたい」


――松下さんにとって、本作の大人のバイオリン教室のような場所はありますか?

松下:特別「ここに行けば誰かに会える」っていう場所を作るのは難しいので、羨ましく思いますね。今回の3人の出会い方とか、魅せられてしまって。できるできないに関わらず、いいなと思ったものに進むことは、大人になるとなかなかできないじゃないですか。私も習いものって言ったら、ダンスのレッスンを受けていたことがありますが、「お芝居の動きに活かせそう」とか考えてしまいます。何にも活かされないけど、自分にとっては心地いい、楽しいというのは、本当に幸せなことですよね。私自身は今そういう場所は持ってないですけど、周りでいろいろな習いごとをされている人の話を聞くと、フットワークが軽くていいなと思っちゃうときはあります。

――忙しい日々の中で「何にも活かされない時間」を持つのは、勇気がいりますよね。

松下:ええ。だから今回のバイオリンっていう楽器は、本当に普段の生活のなかでは絶対に手に取らなかったと思うので、すごくいい経験になりましたね。もう「バイオリン」って言葉に出すのもおこがましい、高嶺の花もいいところ、ってイメージがあったので(笑)。

――たしかに、いいところのお嬢さんがやってる習いごとみたいな。

松下:そうですよね! そういうイメージありますよね! でもそんなことなくて、弾いてみたいと思ったら、そういう教室に行くのもありなんだなっていう気づきがありました。また面白いんですよね、難しすぎて(笑)。何者になるわけではないですが、ドラマが終わっても時々触れられたらいいなって思います。仕事とか関係ないところで「あ、これができるようになった」という喜びがあるのは素敵なことなので。

――最後に、最終回に向けて楽しみにされているファンの方へ、幸恵さんのこういうところを見てほしいという点を教えてください。

松下:幸恵の家族がどういう風になっていくのかというのに加え、後半に向けて3人の関係性が原作と違った新たな展開も生まれてきます。ドラマオリジナルの展開の広がり方を楽しんでいただきたいですね。あとは、幸恵さんがバイオリン教室から離れましたけど、「3人で一緒にバイオリンやろう!」っていうのは、ずっと3人とも思っていることなので、それがいつもう1回あるのか。本当に3人で揃った発表会がどのように行われるのか、楽しみにしてもらえたら嬉しいです。

(取材・文=佐藤結衣/写真=大和田茉椰)

■放送情報
火曜ドラマ『G線上のあなたと私』
TBS系にて、毎週(火)22:00~22:57放送
出演:波瑠、中川大志、松下由樹、桜井ユキ、鈴木伸之、真魚、滝沢カレンほか
原作:いくえみ綾『G線上のあなたと私』コミックス全4巻(集英社マーガレットコミックス刊)
脚本:安達奈緒子
演出:金子文紀、竹村謙太郎、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:佐藤敦司
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gsenjou/

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