『G線上のあなたと私』居心地のよい関係性に変化が? 酔った中川大志が見せた新たな一面
努力の甲斐があって、これまでで1番うまく弾けたかもしれない「G線上のアリア」。その勢いのまま、理人は真於に告白するも、「時間を、無駄にすることになります」と清々しいほどの玉砕。初恋の失恋でこんなにつらいんだから、婚約破棄になった也映子はもっとキツかったはず。理人は思い切りフラれたことで、也映子の痛みを理解するだけの経験値を手に入れることができた。
無駄な努力だったかもしれない、それでも意味がなかったわけではない。人生は大成しないことのほうがずっと多い。恋も、習い事も、それ以外だってそうだ。時間の無駄だとわかっていても、それでも突き進まずにはいられない。そんな成就しない想いや、何者にもならない趣味こそ、かけがえのない思い出となっていく。無理だと諦めたり、無駄だと回避したら、わからなかった痛みもある。
「理人の恋は正解だった」と号泣する也映子。その涙は、仲間の失恋を悔しがるものから次第に、この居心地のよい場所をなくしたくない寂しさへと変わっていく。「バイオリン続けようよ。3人で」。ぐちゃぐちゃに泣きじゃくる姿は、ピュアな思いをぶつける女子中学生のようだ。そんな真っ直ぐな想いに「マジ泣きじゃん」とからかってしまう理人もまた、素直になれない男子中学生そのもの。
さらに、酔った理人は也映子にシャッター壁ドンをかまし、「ナンパされていなくなったかと思った。今日、かわいいから」と意味深な発言まで飛び出す始末。超至近距離&潤んだ瞳で見つめられた也映子は「なんだ、これは!?」と大混乱。それを電話越しに聞いてしまった幸恵も、またドキドキな表情を浮かべる。
理人がバイオリンを続けるのかという以前に、也映子の中に予期していなかった感情が渦巻きそうな気配だ。さらに幸恵の家庭の事情も、姑の介護が必要になったことでより複雑化していく。バイオリン仲間3人で、もう少しこのまま……と、居心地のよい場所であり続けると思っていた関係性が大きく変化しそうな予感。だが、そんな波風もきっと無駄にはなるまい。苦しいときこそ、音楽に出会うように。窮地に立たされて、初めて自分の大事なものが見えてくることもあるのだから。
(文=佐藤結衣)
■放送情報
火曜ドラマ『G線上のあなたと私』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:波瑠、中川大志、松下由樹、桜井ユキ、鈴木伸之、滝沢カレンほか
原作:いくえみ綾『G線上のあなたと私』コミックス全4巻(集英社マーガレットコミックス刊)
脚本:安達奈緒子
演出:金子文紀、竹村謙太郎、福田亮介
チーフプロデューサー:磯山晶
プロデューサー:佐藤敦司
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/gsenjou/