『俺の話は長い』生田斗真の深夜ドラマ的キャラクターが魅力!? “短く”まとめあげる画期的な作風に

 今年1月期に放送された『3年A組ー今から皆さんは、人質ですー』では1話につき1日物語が進み、現在放送中の水曜ドラマ『同期のサクラ』は1年の内の一部分が1話ごとに切り取られ、1クールの間に10年もの時間が流れる。また『あなたの番です』では日本テレビの連続ドラマとしては25年ぶりの2クール放送など、今年の日テレ連ドラは従来の民放連ドラに根付いていた“ストーリー最優先”ともいえる構成を覆すかのようなチャレンジングな作品が目立っている。

 とりわけここ最近の連続ドラマでは、伏線型(各エピソードの謎に加えてドラマ全体の大きな謎を用意し、それを終盤で一気に回収していくパターン)のように全話追わなければついていけないタイプの作品が増え、その一方で、ある程度キャラクター関係を把握しておけばどこから見ても問題のない1話完結型という正反対のパターンも医療ドラマや刑事ドラマといったジャンル性の高い作品で重宝されつづけている。いずれにしても、「毎週決まった時間に観る」という連ドラには欠かせない習慣的行動がすっかり時代遅れになったことの表れとも言えるだろう。

 そんな中でスタートした土曜ドラマ『俺の話は長い』もまた、従来の連続ドラマの方法論を徹底的に崩しにかかる。もっぱらプライムタイム帯の連続ドラマの放送枠は1時間(CMを抜きにしたら47分ほどか)で、各エピソードその時間帯をフルに使うというのが常態化している中で、あえてこのドラマは各週1時間の放送時間の中で、しっかりと分離した2つのエピソードが展開していく。たしかに、TBSでかつて大きな人気を博した『木更津キャッツアイ』も後半で一気に前半の展開を別角度からなぞっていたし、前クールに放送された『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』(TBS系)も然り、1エピソードの前半と後半で趣を変える作品というのはこれまでにも存在していたが、完全に分離させた別の物語を、プライムタイム枠で実現させるというのはなかなか画期的だ。

 12日に放送された第1話では、31歳ながら無職で母親・房枝(原田美枝子)に寄生しながら暮らす主人公の岸辺満(生田斗真)のもとに、姉の綾子(小池栄子)が夫の光司(安田顕)とともに訪れ、家を建て替えるまでの3カ月間仮住まいをさせてくれないかと持ちかける「すき焼きと自転車」というエピソードと、綾子一家が一緒に暮らすこととなって片付けをしている最中に古本を売りに行った満と光司がバーで語り合う姿を中心とした「寿司とダンボール」というエピソードが展開。屁理屈でまくし立てる満のキャラクター像と、食卓を囲む光景などテンポ重視の会話で成立するストーリーは、まるで1話30分ほどの深夜ドラマを彷彿とさせるものがある。

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