『ボイス』唐沢寿明と増田貴久の兄弟愛 シリアルキラー・伊勢谷友介の悲劇的な過去も明らかに

 狂気的なシリアルキラーになってしまった雫にも、その原因となる過去があった。父親・本郷辰夫(伊武雅刀)による殺人の現場を偶然目撃してしまい、その翌日には母親が自殺してしまうという悲劇に見舞われていたこと。一見幸せだった家庭が一気に崩れ去ってしまった出来事によって、悪魔のような存在が生み出されたということが想像できる。キャリアのなかで何度も悪役を演じている伊勢谷友介の好演も相まって、その冷酷さにも説得力が増す。

 一方で、透を演じる増田貴久(NEWS)の物腰柔らかな印象は、彼が裏切り者だとわかっても決して消え去りはしない。彼の甘いマスクと、まとっている温和な空気感によって、どうしても善人に見えてしまうからだ。彼の優しさは、尊敬する樋口に忠実な姿や彼の息子に対する態度などにも現れていただろう。そんな“なんだか愛らしい”透だからこそ、敵いようのない大きな存在を前に怖気づき、捕らえられてしまったラストシーンがさらに苦しく映る。

 「俺が必ず(透を)救ってやる」。樋口が発したその言葉がどうか現実になってくれるよう、祈るしかない。樋口とひかり(真木よう子)の長きにわたる戦いは、果たして良い方向へと帰結するのか。次週、最終話で微笑むのは、果たしてどちらだろうか。

■原航平
編集/ライター。1995年生まれ。映画、ドラマ、演劇などのカルチャーをむさ
ぼり食らう日々。Twitterブログ

■放送情報
『ボイス 110緊急指令室』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演:唐沢寿明、真木よう子、増田貴久、木村祐一
原作:“Based on the series “Voice”, produced and distributed by Studio Dragon Corporation and CJ ENM Co., Ltd”
脚本:浜田秀哉
音楽:ゲイリー芦屋
演出:大谷太郎、久保田充
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:尾上貴洋、後藤庸介(日テレアックスオン)
制作協力:日テレアックスオン
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/voice/

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