『セミオトコ』インタビュー

岡田惠和が明かす、山田涼介がセミであることの意味 「『セミオトコ』は面白さ勝負の作品」

『ひよっこ』の匂い

ーー『ひよっこ』に出演された俳優さんが、別の岡田さんのドラマに出演する機会が最近は多いですね。それが「劇団 ひよっこ」みたいな感じで、すごく楽しいです。

岡田:たぶん『ひよっこ』が、今までで最もキャスティングに口を出した作品だからかもしれないですね。有村(架純)さん以外の若者は全員オーディションで選んでいるので愛情があって、ちょっと子供みたいな感じがあるというか。

ーー『セミオトコ』も、しずちゃん、やついちろうさん、佐藤仁美さんが出演しているので『ひよっこ』の間接的な続編を見ているように感じるというか。『そして、生きる』も有村架純さんが主演ですし、それぞれの作品に『ひよっこ』から派生した何かがあるのかなって思います。

同席した服部宣之プロデューサー:それは、番組スタッフにもあるのかもしれないですね。みんな岡田さんの『ひよっこ』が大好きなので「あの匂い、俺にも嗅がせてくれよ」みたいのはあるんですよ。それがキャスティングに現れてるのかもしれないですね。

人間に寄り添ってくれる優しい誰か

ーーそれにしても、まだ書き終わっていないというのは、意外でした。

岡田:『セミオトコ』はめっちゃ苦しんでいて、1話書き終わるごとにボロボロになっています。「ちゃちゃっと書いてるでしょ」って思われるのが、ホントに心外なんだけど、気が狂いそうになりながら書いてます。しかも、自分が作った1日1話しか進まないというルールもあって、土日に当たる5~6話は、職場の描写もできないですし。

ーー岡田さんの描くファンタジーって「人間に寄り添ってくれる優しい誰か」の話ですが、それが人間じゃなくてもいいというところが岡田さんのラディカルさだと思うんですよ。今回の『セミオトコ』もそういう話ですけど、なぜ、岡田さんはこういうファンタジーを書き続けているのでしょうか?

岡田:ジャニーズ事務所さんとは、ずっと仕事をしてきたんですけど、好きなんですよね。ジャニーズの男の子のたちのありようとファンの関係が。山田くんが出演すると決まった時に、まず第一にファンに喜んでよろこんでもらいたいとシンプルに思ったんです。これは自分たちのためのドラマだという風に思って欲しいと最初に思って、そこから、山田くん推しじゃない人にも広がっていくようになれたらと思って書いています。

ーーアイドルとファンの関係を肯定したいということですね。

岡田:由香がセミオに抱く気持ちは、ファンがアイドルを推す気持ちに近いと思います。あの二人の仲の良さが、描いていてとっても楽しいんですよね。同時に、ずっと続くものでもないっていう切なさも最初からあるので。それがセミであることの一番大きな意味ですね。

(取材・文=成馬零一/撮影=大和田茉椰)

■放送情報
金曜ナイトドラマ『セミオトコ』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~0:15放送
※一部地域で放送時間が異なる
出演:山田涼介、木南晴夏、今田美桜、三宅健、山崎静代、やついいちろう、北村有起哉、阿川佐和子、檀ふみ
脚本:岡田惠和
監督:宝来忠昭、竹園元(テレビ朝日)
ゼネラルプロデューサー:横地郁英(テレビ朝日)
プロデューサー:服部宣之(テレビ朝日)、布施等(MMJ)、本郷達也(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
(c)テレビ朝日

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