『ノーサイド・ゲーム』エース引き抜きに大泉洋が下した決断 社会人ラグビー特有の問題とは

 社会人ラグビーを舞台とする『ノーサイド・ゲーム』だが、これまでも日曜劇場の同枠では、池井戸潤原作の社会人スポーツを題材にしたドラマが制作されてきた。『ルーズヴェルト・ゲーム』の野球や『陸王』のマラソンと比べると、ラグビーは団体戦、なかでも接触プレーのイメージが特に強い。頭脳プレーもあるが、スクラムを組んでの真っ向勝負はラグビーの魅力のひとつであり、闘争心が全面に出る場面でもある。加えて、フェアプレーを重んじるラグビーの精神も相まって、圧倒的な熱量の反面、どうしても生真面目で暑苦しくなってしまう傾向は否めない。

 『ノーサイド・ゲーム』のおもしろさは、この熱量を回避するのではなく、あえて正面突破する意外性にあると思われる。元日本代表や現役トップリーグ所属選手が多数出演し、ラグビー選手がラグビー選手を演じるというのも、他のスポーツにないラグビー特有の空気感を醸成することに貢献しており、ラグビーに魅了された君嶋の家族はラグビーとともに進んでいく。その上で、企業スポーツのビジネスとしての側面に切り込むことで、これまでにない新機軸を提示することに成功した。

 奇しくも、放送前日の8月24日は「ラグビーの日」だった。ラグビーワールドカップ2019日本大会を前に、今作の盛り上がりと呼応するように、ラグビーを扱った名作ドラマ『泣き虫先生の7年戦争 スクール☆ウォーズ』(TBS系)のDVD-BOX発売とParaviでの配信も決定した。35年前に放送され一大ブームを巻き起こした同作と『ノーサイド・ゲーム』を見比べてみるのも、おもしろいかもしれない。

■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。ブログtwitter

■放送情報
日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』
TBS系にて、7月7日(日)スタート 毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:大泉洋、松たか子、高橋光臣、笹本玲奈、天野義久、廣瀬俊朗、齊藤祐也、林家たま平、コージ(ブリリアン)、佳久創、村田琳、笠原ゴーフォワード、大谷亮平、中村芝翫、上川隆也
原作:池井戸潤『ノーサイド』
脚本:丑尾健太郎ほか
演出:福澤克雄ほか
プロデューサー:伊與田英徳ほか
製作著作:TBS
(c)TBS

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