松坂桃李の挑戦は続くーー『パーフェクトワールド』や『新聞記者』などで見せる30代の勇姿

 さらに麦倉氏は、テレビドラマ出演時の作品にも挑戦的な題材が多かったと続ける。

「“挑戦”という意味では、テレビの世界も同じなのかもしれないですね。大ヒットアニメ映画のドラマ版ということで、なかなか難しいところもあったでしょう『この世界の片隅に』をはじめ、いわゆる純愛ラブストーリーであると同時に、車椅子での演技が必要とされる『パーフェクトワールド』など、最近の松坂さんが演じる役は、テレビの世界においても、実はどれもチャレンジングな役ばかり。もちろん、映画のほうは映画のほうで、本格的な時代劇に挑戦した『居眠り磐音』、内閣情報調査室で働く官僚という難役を演じた『新聞記者』、さらに今後も、ピアニスト役を演じる『蜜蜂と遠雷』など、相変わらず“挑戦の季節”は続いていくようなので、そちらも楽しみですよね」

 松坂は、現在30歳で同世代の俳優たちには月9ドラマ『ラジエーションハウス』(フジテレビ系)で主演を務めた窪田正孝や『パーフェクトワールド』で共演中の瀬戸康史らが並ぶ。麦倉氏は松坂に影響を与えているであろう2人の存在について言及する。

「個人的には、宮藤官九郎さんが脚本を担当した『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)に出演したことが、大きな刺激になったのではないかと思っています。これから『いだてん』で再び挑むことになる宮藤さんの脚本作に初めて出演したことはもちろん、そこで共演した同年代の2人の俳優――岡田将生さんと柳楽優弥さんの存在に、かなりいろいろと刺激を受けたのではないでしょうか。岡田さんならば『昭和元禄落語心中』(NHK)、柳楽さんならば『泣くな赤鬼』、『ザ・ファブル』など、彼らもいま、30歳を目前に控えながら、かなり挑戦的な役どころを積極的に演じていますよね。というのも、役者にとって30歳というのは、ひとつの分かれ目と言われているから。30代は、もはや若者ではありません。そこからどんなふうに年を取って、人間的な深みやリアリティを持った役柄を、幅広く演じることができるのか。松坂さんをはじめ、彼らがいま、さまざまな役に挑戦しているのは、そうやって今後の役者人生を見越した上での判断なのかもしれません」

 挑戦の一つだった『パーフェクトワールド』を終えた時、どんな姿を視聴者の目に残してくれるのだろうか。挑戦の先に見せてくれる俳優・松坂桃李の勇姿が楽しみだ。

(文=大和田茉椰)

■放送情報
『パーフェクトワールド』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜放送
出演:松坂桃李、山本美月、瀬戸康史、中村ゆり、松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.)、岡崎紗絵、池岡亮介、木村祐一、水沢エレナ、堀内敬子、とよた真帆、麻生祐未、松重豊
原作:有賀リエ『パーフェクトワールド』(講談社『Kiss』連載)
脚本:中谷まゆみ
音楽:菅野祐悟
主題歌:菅田将暉「まちがいさがし」<作詞・作曲・プロデュース:米津玄師(EPICレコードジャパン)>
プロデューサー:河西秀幸
演出:三宅喜重 白木啓一郎
制作著作:カンテレ
(c)カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/perfectworld/
公式Twitter:https://twitter.com/perfectworldktv

関連記事