山下智久から“紐倉哲”に向けたメッセージも? 『インハンド』誰もが納得の最終回に

『インハンド』誰もが納得の最終回に

 一方の後半パートでは、高家がエボラウイルスを発症。感染から5日以内に死亡すると言われる中、ついに高家は5日目を迎え、紐倉の言葉も聞こえなくなっていく。第10話での「僕たちが蒔いた種だ」という紐倉のセリフが示す通りに、このエボラウイルスを巡る物語は、5年前、当時助手を務めていた入谷(松下優也)を結果的に亡くした事件から繋がる連鎖だ。ケースは違えど、再び助手を亡くそうとしていることに、紐倉は涙を流し、膝をつく。高家が力尽きて握った手をベッドに落とすシーンは、以前紐倉がビルの上から入谷の手を離してしまった場面を重ねてしまう。

 意識が薄れゆく高家に投げかける「お前が僕を変えたんだ」「だからこれからもずっと僕のそばにいてくれ」というセリフ、紐倉がタイムカプセルに入れるはずだった「20年後の紐倉哲は相変わらず天才的な研究を続けている。優秀な助手と共に」というメッセージは彼の心からの声であり、その願いは生ワクチンの開発によって無事高家の生還と共に叶えられる。牧野(菜々緒)からついにパスポートを発行してもらった紐倉が高家と海外でも仲良く言い争う姿は、20年後も相変わらず凸凹コンビを続けている未来を想像させる。

 紐倉を演じた山下はドラマのクランクアップに「一生忘れないドラマになりました」とコメントしている。最終回の直前、山下は『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演し主題歌の「CHANGE」を披露。自身が作詞した楽曲について「信念を貫いていけば未来を変えられるという希望を込めて書きました」と話していた。サビのラストに歌われる〈今-明日-未来「僕が変えよう」〉というリリックは、紐倉の生き方そのもの。「紐倉は意外と重なるんです」(『イブニング 2019年9号』より)という山下の発言も、最終回を終えた今、誰もが納得できる言葉に変わっている。

 「お前が僕を変えたんだ」ーーこのセリフには、『インハンド』を通して一歩次のステップに踏み出した山下から紐倉へ向けられたメッセージが込められているように思えてならない。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『インハンド』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:山下智久、濱田岳、菜々緒、藤森慎吾、高橋春織、酒井貴浩、田口トモロヲ、松尾貴史、光石研
原作:朱戸アオ『インハンド』(講談社『イブニング』連載中)
脚本:吉田康弘、田辺茂範、福田哲平
プロデューサー:浅野敦也(TBSスパークル)、佐藤敦司(TBSスパークル)
演出:平野俊一、岡本伸吾、青山貴洋
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/inhand/

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