挑戦的な「よるドラ」枠、次は“腐女子”をどう描く? 青春ドラマ『腐女子、うっかりゲイに告(コク)る。』に注目

「よるドラ」は“腐女子”をどう描く?

挑戦的なドラマ枠「よるドラ」

 本作が放送される「よるドラ」は、今年リニューアルされたNHKの深夜ドラマ枠。冬クール(1~3月)は、ゾンビが発生した地方都市を舞台に地方で暮らす女性の鬱屈した内面を描いた、異色のドラマ『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』(以下、『ゾンみつ』)が放送された。前回がゾンビモノ、今回が同性愛と腐女子を題材にした青春ドラマという攻めた企画が続いており、NHKのドラマ10と並ぶ挑戦的なドラマ枠だ。

 新鋭クリエイターによる若者向けの作品が続いており、『ゾンみつ』では劇団MCRの櫻井智也、『腐女子~』では劇団ロロの三浦直之が脚本を担当。高齢化著しいテレビドラマの世界において、独自の存在感を見せはじめている。

 前作の『ゾンみつ』もそうだが、キャッチーなキーワードを並べた長くて説明的なタイトルに、SNS受けを狙ったあざとさを感じないわけでもない。正直言うと、見る前は流行りのテーマに便乗しただけの作品ではないかと警戒していたのだが、一話を見る限り、全てのシーンは作り手が必要だと判断して配置したものだと感じた。

 例えば、金子大地と谷原章介のラブシーンは生身の俳優が演じているだけあって、実写ならではの衝撃がある。だがこのシーンはファンタジーとしてBLを楽しんでいる腐女子の三浦の現実と、肉体を持ったゲイの純の現実の違いを示す上で、絶対に必要なものだ。映画『ボヘミアン・ラプソディ』がヒットした後だと、むずかゆく感じてしまうクイーンの楽曲も原作小説の時点で重要なアイテムとして登場しており、純の内面を代弁する音楽として、重要な役割を果たしている。

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