『インハンド』山下智久、紐倉哲役は“意外と重なる”? 原作とは異なるストーリーにも注目

 もちろん、変態性だけが紐倉のキャラではない。『インハンド』放送直前に出演していた『ぴったんこカン・カン』(TBS系)の中で、山下は「失って乗り越えてきた人は、人の心に寄り添える」と紐倉が持つ魅力を語っていた。紐倉が事件の犯人に説くのは、「どんな生き物にも未来はある」ということ。内部告発により医者を懲戒解雇になった高家にも、紐倉は先人の功績があり僕らは生きていること、そして「未来は僕達の手の中にある」と“未来”を見据えながら、同時にどこか影を感じさせる。

「紐倉は意外と重なるんです。僕は光を求めて生きているところがあって、それは逆に言うと自分の中に『陰』の要素があるということ。その『陰』は、紐倉と同質のものだと思います」と、山下は語っている(『イブニング 2019年9号』より)。

 飄々とした変態性が「陽」とするならば、義手を第一に彼のベールに包まれた過去が「陰」。「光を求めて」という山下の発言は、紐倉の「未来は僕達の手の中にある」というフレーズをイメージさせる。山下と濱田岳が共演した2007年放送『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)や山下の代表作の一つである『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)のように、“意外と重なる”という紐倉を、『インハンド』という作品を山下のものにしていけるかが今後の見どころだ。

 また、『インハンド』の原作マンガは2018年にスタートし、現在第10話。前身となる作品を合わせても全3巻のみとなっている。それ故に、オリジナルの要素が強く、原作者の朱戸も山下らとの対談で「もう3人は私の手を離れて自由に動き回っている存在です」と感想を明かしている。ドラマオリジナル脚本が放つ、原作とは異なるストーリー、メッセージ性にも注目だ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
金曜ドラマ『インハンド』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:山下智久、濱田岳、菜々緒、藤森慎吾、高橋春織、酒井貴浩、田口トモロヲ、松尾貴史、光石研、風間杜夫
原作:朱戸アオ『インハンド』(講談社『イブニング』連載中)
脚本:吉田康弘、田辺茂範、福田哲平
プロデューサー:浅野敦也(TBSスパークル)、佐藤敦司(TBSスパークル)
演出:平野俊一、岡本伸吾、青山貴洋
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/inhand/

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