『ダンボ』ティム・バートンが描く、“普通”の枠組みから外れた愛しき主人公たち

 バートン版『ダンボ』の、原作に敬意を示す演出にも注目だ。アニメ版で語り手として登場するネズミのティモシーや喋る機関車は“別の形”に姿を変えて登場。ダンボが空を飛ぶときに握りしめている“魔法の羽”は、導入こそ違えど、ダンボが空を飛ぶきっかけとして重要な役割を果たす。また、当時アニメーションとして斬新だと評判を呼び、SNS上で「トラウマになる」との声も挙がっていた“ピンクの象”のシーン。原作のようなサイケデリックさは抑えられ、ピンク色のシャボン玉に姿を変えた“ピンクの象”は次々にダンボの目の前に現れる。どこか奇妙なのに美しい、バートンならではの幻想的な映像に仕上がった。

 ダンボの物語に対する説得力のある演出と比類のない映像美。バートンが経験してきたすべてが『ダンボ』に活かされていると言っても過言ではない。

<参考文献>
『バートン・オン・バートン』(編者:マーク・ソールズベリー/訳者:遠山純生/1996年11月1日/フィルムアート社)

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■公開情報
『ダンボ』
全国公開中
監督:ティム・バートン
出演:コリン・ファレル、エヴァ・グリーン、マイケル・キートンほか
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved
公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/dumbo.html

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