『いだてん』中村勘九郎×森山未來、シンクロした情熱 物語は明治から大正へ

『いだてん』中村勘九郎×森山未來、シンクロした情熱 物語は明治から大正へ

 そのころ東京では、孝蔵が初めて高座にあがる。緊張のあまり酒に手を出し、泥酔状態で高座にあがった孝蔵は、客の視線に驚き頭が真っ白になってしまう。だが「耳で覚えちゃダメよ。噺はね、足で覚えるんだ」という円喬(松尾スズキ)の言葉を思い出し「富久」を演じ始める孝蔵。

 「富久」を演じる孝蔵が熱を帯び始める姿と、四三が再び日本のユニフォームを着、走り出す姿が重なる。四三と孝蔵のキャラクターは真逆だが、孝蔵の軽快で熱を帯びた話し口は四三の心の奥にある情熱を表すのにふさわしい。四三は呼吸を乱すことなく淡々と走り続ける。しかし心の中は「富久」を演じる孝蔵のように、熱く燃え盛っていたはずだ。

 孝蔵は「富久」を最後まで演じることはできなかった。しかし孝蔵の「富久」は客の心に刺さっただろう。一方、四三も自身の敗北やラザロの死を覆すことはできない。しかしそれらを受け止め、走り続ける。各国のマラソン選手たちは「4年後に会おう」と言葉を交わし、その中にはもちろん四三の姿もある。「勝つか死ぬか、そのどちらかだ」というラザロの言葉を思い出す四三の表情は、再び走り出すという決意に満ちたものだった。

 第13話のタイトルは「復活」。消失したものが再び元の状態に戻ることを示すこの言葉は、再びスタート地点に立った四三と孝蔵の姿を表すのに然るべきタイトルだ。孝蔵は清さん(峯田和伸)から受け取った着物を羽織り、三遊亭朝太としてのスタートを再び切る。日本へ帰国する四三は、4年後に開催されるオリンピックのために、走ることへの情熱を再び燃やすだろう。次回、第14話から、時代は明治から大正へと変わる。四三の新しい挑戦が楽しみだ。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:中村勘九郎、阿部サダヲ/綾瀬はるか、生田斗真、杉咲花/ 森山未來、神木隆之介、橋本愛/杉本哲太、竹野内豊、 大竹しのぶ、役所広司
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/
写真提供=NHK

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