『キャプテン・マーベル』が愛と正義の戦士になるまでの軌跡 その精神はセーラームーンに通ずる?

『キャプテン・マーベル』とこれからのMCU

 さて、MCU女性単独映画として素晴らしいメッセージを込め公開された本作だが、MCU全体として見れば、少々物足りない出来にも感じたのも本音で、物語のテンポや構成が、型にはまりすぎている。ルッソ兄弟が制服をデコレーションするギャルだとしたら、アンナ・ボーデン&ライアン・フレックはルール通りにきっちり着こなす優等生。笑いの直後に殺戮を起こすルッソ兄弟に対して、ボーデン&フレックは笑いのシーン、戦闘シーンの区切りがとても濃かったように思えた。そのせいか、ルッソ兄弟が監督したというエンドクレジットシーンのキャプテン・マーベル登場の間の迫力が、引き立ってしまったのが惜しい。

 強いだけでは、人気の獲得が難しいMCUヒーローたち。これまで強さ順で言うと、ソーが圧倒的だったが、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、スパイダーマンらの人間味のあるキャラクターたちが高い支持を得ている。とはいえ、キャプテン・マーベルの物語はまだ始まったばかり。スクラルに捕まった際の戦闘で、腕の拘束が外れたときのガッツポーズや、モニカとコスチュームの色を決めるときの優しい表情は、これまでのヒーローとは違う、少女と母性を混ぜたような愛らしさで、そんな彼女の内なる部分がこれから掘り下げられるのが楽しみでならない。

『アベンジャーズ/エンドゲーム』本予告編

 『キャプテン・マーベル』のエンドクレジットでは新コスチュームを纏い、先日公開された『アベンジャーズ/エンドゲーム』の新予告ではついにアベンジャーズと合流したキャロル・ダンバース。世界の命運が彼女にかかっていると考えると、感情を抑えるなんて、やっぱり無理だ。

■阿部桜子
ライター&編集者。映画と海外ドラマ。好きなジャンルは、「ディズニー」「アメコミ」「ホラー」。

■公開情報
『キャプテン・マーベル』
全国公開中
監督:アンナ・ボーデン、ライアン・フレック
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:ブリー・ラーソン、ジュード・ロウ、サミュエル・L・ジャクソン、クラーク・グレッグ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)Marvel Studios 2019
公式サイト:https://marvel.disney.co.jp/movie/captain-marvel.html

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