木村佳乃が初めて見せた汚れのない目 『後妻業』小夜子と柏木の運命は?
傷だらけの小夜子は柏木に甘える。柏木の葉巻が吸いたいとせがむその表情は、普段のあっけらかんとした明るい表情でもなければ、柏木と出会ったばかりの頃の暗い表情とも違う。小夜子が歩んできた壮絶な人生を一切感じさせない、汚れのない目をしていた。小夜子はその目で柏木をじっと見つめると、彼と唇を重ねる。木村はこれまで小夜子の飄々とした姿を楽しそうに演じていた。しかし第8話では、単なる笑顔ではない表情で、小夜子がこれまで抱えてきた闇や柏木への思いを吐き出すような演技を見せた。“後妻業”を続けてきた小夜子の純粋無垢な部分が見えてくる木村の演技は、視聴者に切なさを伝えるものとなった。
柏木演じる高橋の演技にも注目だ。小夜子を傷つけた舟山に激昂した柏木だが、小夜子の前では穏やかな表情を見せる。高橋の演技は、感情をむき出しにするようなものではない。しかし小夜子を強く抱きしめたときに優しく触れた手やその表情、小夜子からのキスを静かに受け入れる姿、一線を超えることなくその場から立ち去る演技、その全てから小夜子を愛おしく思う柏木の思いがにじみ出ている。舟山に怒りを露わにした柏木は、小夜子のことを「俺の大事なツレや」と言った。ドラマ終盤、「大事な商売道具」であり「大事なツレ」である小夜子を守るため、1人行動を始める姿に最終話への高揚感が高まる。
小夜子と柏木の運命はどうなるのか。遺産をめぐる争いを制し、最後に笑うのは一体誰なのか。
■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。
■放送情報
『後妻業』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:木村佳乃、高橋克典、木村多江、伊原剛志、葉山奨之、長谷川朝晴、篠田麻里子、平山祐介、田中道子、河本準一、濱田マリ、とよた真帆、泉谷しげる
原作:『後妻業』 黒川博行(文春文庫刊)
脚本:関えり香
演出:光野道夫(共テレ)、都築淳一(共テレ)、木村弥寿彦(カンテレ)
音楽:眞鍋昭大
企画・プロデュース:栗原美和子(共テレ)
プロデュース:杉浦史明(カンテレ)、萩原崇(カンテレ)、水野綾子(共テレ)
制作:カンテレ、共テレ
(c)関西テレビ
公式サイト:https://www.ktv.jp/gosaigyo/index.html