中村勘九郎、役所広司、ビートたけし……異色の大河ドラマ『いだてん』の魅力は“主人公”の多さ

 坂本龍馬、源義経、近藤勇、新島八重、黒田官兵衛、平清盛、井伊直虎など、これまでに様々な歴史上の人物がヒーロー・ヒロインとして活躍する作品が作られてきた。今回の四三と田畑のように2人以上の人物が主人公の作品は過去にもあったが、『いだてん』はかなり独特なカラーを帯びた大河ドラマになったと言って良いだろう。いわば、“誰もが主人公になり得る物語”としての意義があるのではないか。

 アスリートにはアスリートの葛藤や苦悩がある一方で、その舞台を作り上げるために関わる全ての人々にドラマがある。こればかりは作り手の宮藤官九郎に聞かないと分からないが、恐らく四三と田畑だけでなく“みんなが主人公”の大河ドラマなのではないか。もちろん、誰か1人のカリスマ的活躍を描いたドラマも非常に面白い。ただ、『いだてん』のように登場する全員――それこそ清さん(峯田和伸)も含めて。彼は架空の人物とはいえ、四三に東京の地形について教えたりもしていた――に光を与える大河ドラマもあっていいはずだ。このドラマには戦や乱は起こらない。しかし、みんな何かに夢と希望を抱いて汗を流して“闘う”姿が、心に響くのである。

(文=國重駿平)

■放送情報
『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』
[NHK総合]毎週日曜20:00~20:45 
[NHK BSプレミアム]毎週日曜18:00~18:45 
[NHK BS4K]毎週日曜9:00~9:45
作:宮藤官九郎
音楽:大友良英
題字:横尾忠則
噺(はなし):ビートたけし
出演:中村勘九郎、阿部サダヲ/綾瀬はるか、生田斗真、杉咲花/ 森山未來、神木隆之介、橋本愛/杉本哲太、竹野内豊、 大竹しのぶ、役所広司
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/idaten/r/
写真提供=NHK

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