クリント・イーストウッド、作品選びの極意を語る 「ただじっと何かが見つかるのを待つだけ」

 3月8日公開の映画『運び屋』で監督・主演を務めたクリント・イーストウッドが、作品選びの極意を明かした。

 本作は、イーストウッドが自身の監督作としては『グラン・トリノ』以来、10年ぶりに主演を務めた実話を元にしたサスペンス。巨大な麻薬組織で、最大300キロ、13億におよぶ巨額のドラッグを運んだ“伝説の運び屋”で、孤独な老人アール・ストーンの姿を描く。

 イーストウッドは、これまでにも数多くの実話を題材にした作品を世に送り出してきた。2006年には、太平洋戦争屈指の激戦と言われた硫黄島の戦いを日米双方の視点から描いた硫黄島2部作を発表。日本視点による『硫黄島からの手紙』では、栗林忠道陸軍中将(渡辺謙)の指揮によって、5日で終わるとされた戦いを36日間も戦い抜いた日本兵たちを描いた。イーストウッドは、「若い彼らがそれを知らないことが重要だと思った。日本や世界の人々に、祖先の経験が非常に過酷だったことを知らせたかった。今でも私の作品の中で良い映画だと思っている」と振り返っている。

 世界興収5億ドル突破の大ヒット作『アメリカン・スナイパー』では、ブラッドリー・クーパーを主演に迎え、イラク戦争で米軍史上最多の160人を射殺した“伝説の狙撃手”の半生を描いた。ライフルの照準が狙った先にいる子ども撃てるのか。兵士の葛藤のドラマが、全世界の観客の心を大きく揺さぶった。

 155人もの命を救いながらも、一転、容疑者とされた飛行機機長をめぐるサスペンス『ハドソン川の奇跡』では、2009年に起きた航空機の不時着事故後の検証をめぐる実話を描いた。ファンタジーには興味がないと語るイーストウッドは「『アメリカン・スナイパー』は、実話だし、テーマ性もあるからやってみる価値があった。ぴったりの題材を見つけるのはとても難しいことだ。いいものを見つけたら、その中に自分のすべてを注ぎ込む。何もなければ、ただじっと何かが見つかるのを待つだけ」だと語っている。

■公開情報
『運び屋』
3月8日(金)全国ロードショー
監督・出演:クリント・イーストウッド
脚本:ニック・シェンク
出演:ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、マイケル・ペーニャ、ダイアン・ウィ―スト、アンディ・ガルシア、アリソン・イーストウッド、タイッサ・ファーミガほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2018 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
公式サイト:www.hakobiyamovie.jp

関連記事