『後妻業』男同士の対決からも目が離せない 高橋克典が黒幕・柏木役で見せる“余裕”

 高橋は柏木のキャラクターを崩すことなく、表情や態度だけを対峙する人や状況によって変えていく。小夜子に対して焦りを見せたかと思いきや、博司に対しては保護者のような寛大さを見せつける。ドラマ終盤、夫の不倫現場に居合わせ涙する朋美が柏木にぶつかってしまうのだが、朋美の涙に気づいた柏木は彼女に優しく声をかける。その姿からは本多の言う「悪人」の一面は伝わってこない。また柏木は小夜子に対して、時折彼女を慰めるような言葉を発する。厳しい生い立ちを歩んできた小夜子とどのように出会ったのかは定かではないが、彼女にだけ見せる柔らかな表情がある。その表情は2人にバディ以上の関係があることを予期させる。未だ謎の多い柏木の素性だが、果たして本当にただの「悪人」なのだろうか。

 動じない姿勢を崩さない本多と、人によって表情や態度を柔軟に変える柏木。小夜子や朋美と関係を深めることで、この2人にも変化が生じるかもしれない。男同士の対決からも、目が離せない。

■片山香帆
1991年生まれ。東京都在住のライター兼絵描き。映画含む芸術が死ぬほど好き。大学時代は演劇に明け暮れていた。

■放送情報
『後妻業』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週火曜21:00〜21:54放送
出演:木村佳乃、高橋克典、木村多江、伊原剛志、葉山奨之、長谷川朝晴、篠田麻里子、平山祐介、田中道子、河本準一、濱田マリ、とよた真帆、泉谷しげる
原作:『後妻業』 黒川博行(文春文庫刊) 
脚本:関えり香
演出:光野道夫(共テレ)、都築淳一(共テレ)、木村弥寿彦(カンテレ)
音楽:眞鍋昭大
企画・プロデュース:栗原美和子(共テレ)
プロデュース:杉浦史明(カンテレ)、萩原崇(カンテレ)、水野綾子(共テレ)
制作:カンテレ、共テレ
(c)関西テレビ
公式サイト:https://www.ktv.jp/gosaigyo/index.html

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