『アストラル・アブノーマル鈴木さん』インタビュー

YouTubeドラマから劇場化へーー大野大輔監督が語る、『アスアブ鈴木』松本穂香との挑戦

 昨年にYouTube配信され、松本穂香主演で話題を集めたドラマ『アストラル・アブノーマル鈴木さん』が現在、劇場版として日本各地のスクリーンで上映されている。本作は、残酷な運命のイタズラで田舎に取り残され、YouTuberとして生きる鈴木ララが、家族や来訪者などを巻き込み大暴走を繰り広げるさまを描くヒューマンコメディ。ドラマ・劇場版の両方の監督と脚本を務めた大野大輔氏に、本作での挑戦について話を聞いた。

「松本さんとの作品としても達成感」


ーーそもそもYouTubeドラマの制作に挑戦したきっかけはなんだったのでしょうか?

大野大輔(以下、大野):SPOTTED PRODUCTIONSの直井(卓俊)さんから、松本さん主演のWEBドラマの企画があるというお話をいただいたのが始まりでした。主人公が毎回ゲストを招いて、討論形式で戦って負かせていくという企画で、僕の自主映画でやっているものと通じるものがあったということでお声がけいただいて。僕自身、初めて商業作品に関わらせていただけるチャンスで、ALPHABOATさんがやるYouTubeドラマの第1弾ということでも面白そうだなと思い、お引き受けしました。

ーー前例があまりないなかで、どのように作っていったのでしょうか。

大野:過去にWEBドラマを見たことがなかったので、僕自身もどうなるのかなと思っていましたが、YouTube上にアップされているドラマをサンプルとして参考にしました。ALPHABOATさんのリサーチの結果、ネット配信時に一番興味を持って映像を観てもらえるのが2〜3分、5〜6分くらいの尺だと知って、その分数を想定しながら作っていきました。

ーー松本さん主演で作品を作るという上で意識したことありますか。

大野:日曜劇場『この世界の片隅に』(TBS系)の撮影に入るひと月前くらいにまとめて本作の撮影をしたのですが、この規模の作品に松本さんが関わるのは、今回が最後かもしれないと聞いていたので、貴重な機会なのかなと思って作っていましたね。

ーー実際に現場での松本さんの演技をご覧になっていかがでしたか。

大野:本読みの段階で僕らが意図しているキャラクターのイメージをほとんど掴んでくださっていたので、現場では特に演出をするわけでもなく、スムーズに撮影が進んでとてもやりやすかったです。映画のクライマックスで、主人公が感情のピークを迎えるシーンがあるんです。松本さんに負担のかかる芝居をさせてしまったとは思うんですが、その分すごい良いシーンになったなと、僕自身も気に入っていて。このシーンが上手く撮れたのは個人的にも、松本さんとの作品としても達成感がありました。

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