長谷川博己演じる萬平に学ぶ、信頼されるヒント 『まんぷく』“自分が一番大事”が示すメッセージ

 ここで、興味深いのは、ビンガムから「君は自分が可愛くないのか?」と聞かれたとき、正直に「もちろん、“自分が”一番大事です」と言ったことである。これまでの放送の中でも、しきりに“人のため”を掲げてきた萬平。それゆえに、福子も、牧(浜野謙太)も、加地谷も、三田村会長(橋爪功)も彼の人間性を保証すべく訴えかけてきたのだろう。でも、萬平は“自分が一番”大事だと言う。どうしてだろうと考えてみたが、萬平の言っていることは間違っていないように思える。自分が大事。だから、自分がハッピーになるためには、自分以外のみんながハッピーになればいい。幸せでいるみんなと一緒にいれば、自分もおのずと幸せを享受できるようになる。「等価交換」の経済法則は幸せにも当てはまるのだ。みんなに幸せを授ければ、自分にも幸せのリターンがあるのだ。だから、対立などせずにできるだけ多くの人々が共存出来たほうが、世界の幸福の総量は増えるはずだから。

 そう考えてみると、世良(桐谷健太)が取り調べのときに口にした言葉はあながち間違っていないのではないかと思える。

「こんなしょうもないことで立花くんを潰したら日本の損失や。(中略)東洋の損失や。ほんでな、僕を潰してみろ。世界の損失や、ロスト・ワールドや!」

 世良が伝えようとした趣旨とは異なるのかもしれないが、萬平のような人間も、世良のような人間も、あるいは加地谷のような人間もいなくなっては困る。損失である。あらゆるタイプの人間が対立することなく、それぞれの人生を歩んでいるということ。それこそが『まんぷく』が伝えるメッセージの一つではなかろうか。

(文=國重駿平)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)〜2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、瀬戸康史、中尾明慶、橋爪功、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

関連記事