“スクリーンジェニック”と呼ぶにふさわしい 桜井日奈子、『ういらぶ。』で発揮した立体的な存在感

 今年4月に公開された『ママレード・ボーイ』の際に、「桜井日奈子という女優の魅力はラブコメ要素の強い“キラキラ映画”でこそ最大限に引き出されていくにちがいない」と踏んだが、その予感はまさに的中したと言えるだろう。現在公開されている『ういらぶ。』で桜井日奈子が魅せる演技は、これまでの彼女が持ち合わせていた“フォトジェニック”さを超越した“スクリーンジェニック”と呼ぶにふさわしい立体的な存在感を最初から最後まで完璧に発揮していた。

 星森ゆきもの『ういらぶ。―初々しい恋のおはなし―』を実写映画化した本作には、“キラキラ映画”に必要なあらゆる要素が凝縮されている。主人公の凛を演じるのは今年大ブレイクを果たしたKing & Princeの平野紫耀で、『花のち晴れ〜花男Next Season〜』につづいてギャップのあるヘタレ男子を好演。さらに玉城ティナ、磯村勇斗、伊藤健太郎、桜田ひよりと、高い演技力とスクリーン映えする“華”を備えた若手俳優たちが主人公カップルを徹底的にサポートしている。

 そこにドラマ版『ウォーターボーイズ』やミニシアター公開ながら脚本力の巧さで大きな話題をさらった『キサラギ』から、『ストロベリーナイト』のようなメディアミックスのブロックバスター作品までそつなくこなす佐藤祐市監督の安定した演出。序盤の方に何度か組み込まれるCMイン映像のようなタイトルコールに遮られても、すぐに流れを取り戻すだけの引力を維持して、仰々しい表現さえも作品世界へ自然に一体化させる。

 やたらと“リアリティ”が求められるきらいのある日本映画において、“理想”を最大限まで追求する少女漫画作品というのはどうにも内容の薄いものと捉えられがちではあるが、決してそうではないということを、改めて証明した作品といえるだろう。というのも、まず主人公男子のキャラクターは思春期の男子の多くが経験し得る至極普遍的な恋愛への理想からの脱却に悩む存在として描かれ、またヒロインも恋愛を通していかに自分をステップアップさせるかに頭をひねり続ける。

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