桐谷健太、『まんぷく』で新たなハマり役に 愉快で豪快なムードメーカーとしての魅力

 ところで桐谷といえば、マルチな才能を持ったプレイヤーであることも、よく知られるところである。『クローズZERO』(2007)、『クローズZERO II』(2009)で見せたアクションや、『BECK』(2010)でのラップによる圧巻の舞台パフォーマンス。さらには、『ソラニン』(2010)や『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』でも披露したドラム、映画『火花』(2017)や先述したCMでの歌声も好評だ。

『火花』(c)2017「火花」製作委員会

  また、『アウトレイジ ビヨンド』(2012)、『GONIN サーガ』(2015)などで演じた硬派なキャラクターにも定評があり、昨年公開の『ビジランテ』ではその路線を極め、多くの観客をシビレさせた。筆者も例に漏れず、まるで高倉健の映画を観た時のような心持ちで劇場を後にしたことを鮮明に覚えている。しかし、三枚目なムードメーカーやマルチな才能、“男も惚れる”佇まいだけでなく、『彼らが本気で編むときは、』(2017)での繊細さも見逃せない。

 さて、戦争も終わりを迎え、“戦後”というさらなる激動の時代の中で、桐谷演じる世良は、福子と萬平たちをどのようにサポートしていくのだろうか。まさか楽器の演奏や歌声披露まであるのでは……?と期待してしまうのは、やはり俳優・桐谷健太だからこそ。『連続テレビ小説 まんぷく Part1』(NHK出版)にて彼は、「福子とは別の立場から“もうひとりの嫁”のように、萬平を支えられるんじゃないかと期待しています」と話している。今後の彼らの掛け合いに、要注目である。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『まんぷく』
10月1日(月)~2019年3月30日(土)【全151回】
作:福田靖
出演:安藤サクラ、長谷川博己、内田有紀、松下奈緒、要潤、大谷亮平/桐谷健太、片岡愛之助、橋本マナミ、松井玲奈、呉城久美、松坂慶子ほか
語り:芦田愛菜
制作統括:真鍋斎
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/mampuku/

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