“夫婦アクション”の新たな快作! 夫婦関係をカッコよく描いた『スカイスクレイパー』の新しさ

 そんなチャンピオン&クイーンの活躍は期待通りの素晴らしさだ。予告やポスターで見られる通り、今回もロック様は大活躍。重力を超越したビルへの大ジャンプや、義足とダクトテープを使ったアクション、さらには『燃えよドラゴン』(73年)へのオマージュまで、観客の期待にしっかり応えてくれる。一方、“クイーン”ネーヴ・キャンベルも負けてはいない。彼女は『スクリーム4:ネクスト・ジェネレーション』('11年)まで全シリーズ皆勤を果たしており、あえて現実と映画をゴッチャにするなら、相当なサイバル・スキルを持った御方である。その手腕は期待通りであり、火災発生と同時に子供たちを冷静かつ的確に守りつつ、安全区域へ脱出を開始。ロック様との息もピッタリな脱出劇の後もビル外でも積極的に戦いを続け、最後にはスタイリッシュ悪女と肉弾戦まで披露。彼女の劇中での魅力はロック様に勝るとも劣らない。

 最初にも書いた通り、アクション映画では「夫婦」が「夫婦」のまま活躍するのは難しい。本作はその難題を見事にクリアし、なおかつ「これ伏線かな?」と思った部分は基本的に全て回収され、笑いあり涙ありのエンタテイメント作品に仕上がっている。夫婦という関係をカッコよく描いた夫婦アクション、その新たな快作が生まれたと言っていいだろう。

■加藤よしき
ライター。1986年生まれ。暴力的な映画が主な守備範囲です。
『別冊映画秘宝 90年代狂い咲きVシネマ地獄』に記事を数本書いています。

■公開情報
『スカイスクレイパー』
全国公開中
監督:ローソン・マーシャル・サーバー
出演:ドウェイン・ジョンソン、ネーヴ・キャンベル、パブロ・シュレイバー、チン・ハン
配給:東宝東和
(c)Universal Pictures
公式サイト:skyscraper-movie.jp

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