地獄の尼僧軍団VS悪霊バスターズ! 『死霊館のシスター』ScreenX版がもたらす“錯覚”の恐怖

ScreenX方式がもたらすのは“空間認識能力”による錯覚

 さて、今回体験したScreenX方式について改めて触れよう。そもそもScreenXとは、通常のスクリーンに加えて、左右にも映像を投影する上映方式のことを指す。4DXが水や衝撃、熱さといった“触覚”による没入感を与えてくれるのに対し、ScreenXは“空間認識”の変化によって臨場感を加速させるギミックだと考えていい。

 普段は正面のスクリーンに見えていたものが左右のスクリーンに映ると、どんなことが起こるのか? 視野が広がるぶん、一つのモノを認識するのにワンテンポ遅れが発生するため、“いきなり何かが現れた”ように錯覚してしまうのである。『死霊館のシスター』であれば、何気なくそこにいる尼僧軍団が「突然そこに現れたかのように」感じる場面がこれにあたる。日常生活で前を向いて話しているのに、横からいきなり顔が現れるとビックリする……あの感覚である。いわば、ScreenXは、空間認識能力を利用して、実際にその場にいるような感覚を味合わせてくれるのである。ちなみに、監督のコリン・ハーディがScreenX向き、とおススメするのは、「シスターたちが礼拝堂に集まって祈るシーン」。前述したように、“何かがいるのに、すぐにはハッキリと認識できない”独特の感覚を味わうことが出来るので必見だ。

『死霊館のシスター』ScreenX監督コメント
『死霊館のシスター』ScreenX比較映像

 また、左右で何かが動く感覚は、狭い空間を移動する場面でも非常に強く作用する。例えば、『死霊館のシスター』には、狭い廊下で追いかけられるシーンが登場。この場面では左右の壁面が流れるように変化するため、ものすごいスピードで尼僧の顔面が迫ってくるかのように感じるのである。こういった錯覚は、これまでのシリーズに比べて“ヤバイやつ”の姿を出し惜しみしない『死霊館のシスター』だからこそ味わえるもの。くわえて本作には、ScreenX方式でしか観ることが出来ないシーンも収められている。そこに何が映っているかは、実際にスクリーンで確認してみて欲しい。

■藤本洋輔
京都育ちの映画好きのライター。趣味はボルダリングとパルクール(休止中)。TRASH-UP!!などで主にアクション映画について書いています。Twitter

■公開情報
『死霊館のシスター』
新宿ピカデリーほかにて公開中
監督:コリン・ハーディ
脚本:ゲイリー・ドーベルマン
製作:ジェームズ・ワン
出演:タイッサ・ファーミガ、デミアン・ビチル、シャーロット・ホープ、リリー・ボーダン、ボニー・アーロンズほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
2018年/アメリカ/カラー/デジタル/英語/原題:The Nun
(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.(c)Warner Bros. Entertainment Inc.
公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/shiryoukan-sister/

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