イベント上映、配給、ソフト化まで Gucchi’s Free School主宰・降矢聡氏に聞く“自主”の醍醐味

グッチーズ主催が語る、

 アメリカの大ヒット海外ドラマ『GIRLS/ガールズ』の原点とも言える、レナ・ダナムが監督・脚本・主演を務めた2010年の映画『タイニー・ファニチャー』が、現在、渋谷のイメージフォーラムで公開中だ。SXSW映画祭グランプリを獲得するなどインディペンデント映画の重要作と知られる本作だが、日本では長らく未公開で、今回8年の時を経てようやく劇場で観ることができるようになった。そんな映画ファンの期待に応える形で本作を配給しているのは、Gucchi’s Free School(グッチーズ・フリースクール)という、日本未公開映画の紹介、上映を企画・運営する団体だ。

 リアルサウンド映画部では今回、グッチーズ・フリー・スクールの教頭(主催)降矢聡氏にインタビューを行い、グッチーズ・フリー・スクールの活動の変遷や、自主での映画上映イベントの企画や配給について、話を聞いた。

「自分たちでやりながら知っていって、なんとかできている」

ーーGucchi’s Free School(グッチーズ・フリー・スクール/以下、グッチーズ)は日本未公開映画の紹介、上映を企画・運営する団体として映画ファンの間では知られていますが、もともとはブログで未公開映画の紹介をしていたんですよね?

降矢聡(以下、降矢):そうですね。でもその当時は活動というほどでもなかったんです。「日本未公開の映画が気になるけど、日本語字幕がないと分からない」という人に向けて、未公開映画のあらすじを最初から最後まで詳しく書いた記事をブログに載せていました。最初はそういう個人ブログレベルのことを仲間3人くらいでやっていただだけだったんです。

『アメリカン・スリープオーバー』

ーーそこから映画の上映イベントを開催したり配給をしたりと活動の幅が広がっていくわけですね。僕も当時そのイベントに足を運んだのですが、最初に上映イベントを行ったのは、東京藝術大学の新港校舎で『アメリカン・スリープオーバー』を上映した2014年3月でしたね。

降矢:そんな初期から来ていただいてありがとうございます(笑)。たまたま藝大さんから声をかけていただいて上映イベントをやることになったのですが、そこで何もわからずに実際にやってみた結果、「1回限りの上映イベントならできるな」となんとなく掴んだので、その後も定期的に上映イベントを続けていくことにしました。

ーー上映イベントのノウハウがあったわけではなかったんですね。

降矢:それが全くなかったんです。

ーーでは独自にリサーチしながら?

降矢:そうですね。ただ、リサーチといっても結局はネットで調べるくらいしかなくて。ネットで調べた情報で、ここに問い合わせれば大丈夫そうだな、みたいな。違ったらその人にどうすればいいかを聞けばいいかという感じで進めていったら、案外できてしまったという。

ーー海外の権利元とのやり取りはトントン拍子で進んでいくものなんですか?

降矢:メールの返信がひたすら遅いとか、やり取り自体はあまりスムーズではないのですが、それ以外の部分は結構簡単に進んでいくんです。一番難しいのは値段交渉ですかね。それが結構シビアで、仮に劇場が満席になったとしても赤字になってしまう金額を提示されたり、時間をかけて交渉したけど結局上映できなかった作品もあったりしました。『アメリカン・スリープオーバー』に関して言えば、2ヶ月くらいは向こうの権利元とやり取りをしていましたが、割とスムーズに進んだ印象でした。あと不安だったのは、素材ですね。どういう形で素材をもらうのか、またその素材をもらったときに字幕は自分たちで入れたらいいのか、もしくは業者さんに頼んだ方がいいのか、もしも自分たちで字幕を入れるのであればどういった形で素材をもらったらいいのか……。戸惑うことは多々ありましたが、自分たちで聞きながら、やりながら知っていって、なんとかできているという感じです。戸惑うことは今でも全然あるぐらいなので(笑)。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる