藍沢耕作の表情に変化が 山下智久が魅せた劇場版『コード・ブルー』での絶妙な成長

 藍沢は優秀な脳外科医としてトロント大学のレジデント、緋山は周産期医療センターの医局長に推薦されており、白石はスタッフリーダーとして日々奔走。藤川は冴島と結婚をし、喧嘩をしながらも仲良くなっている。そんな彼らは、後輩となるフェローの名取颯馬(有岡大貴)、灰谷俊平(成田凌)、横峯あかり(新木優子)の指導をしつつ、救命救急センターを支え続けている。その他登場人物は多々存在するが、最低限ここさえ押さえていれば楽しめるはずだ。

 そんな『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』の見どころだが、約2時間の中に様々なドラマが盛り込まれているためやや詰め込み感はあるものの、泣きどころもたっぷり。“短編集”に近い感覚でスッと作品に馴染める。数ある見どころの中でも、本稿では主演・山下智久の演技の成長を推したい。山下といえば、ジャニーズメンバーの中でも多くのドラマ、映画に出演している人物である。幅広い役を演じているが、どちらかといえばクールなキャラクターを演じることが多い。『コード・ブルー』シリーズの藍沢はその最たるものだろう。藍沢は表情に感情が出ることはほとんどなく、目だけの演技が非常に多い。テレビドラマ初期は、特にではないだろうか。また、周りのキャラクターたちが表情豊かだからこそ、余計藍沢のクールさが目につくのだ。

 だが、10年間一切表情が変わらないというわけではなく、藍沢というキャラクターは着実に成長をしている。これまで自分第一に考えていた藍沢だが、映画では周りのために行動を起こすシーンがほとんどだ。山下自身も「自分のために現場にいようということしかモチベーションのなかった男が誰かのために頑張ってみようと変化した。自分のためだけというのは限界があるんですよね。そこに『誰かのために』というのが加わればもっと頑張れると気づいたのかもしれないし、すごく成長したのかもしれない。誰かのために頑張れる男になった(引用元:山下智久、『コード・ブルー』で芽生えた情熱 劇場版は「最後のつもりで演っている」 | ORICON NEWS)」と語っている。

 この「成長感」を山下が絶妙に表現している。本当に少しずつだが、藍沢の表情から感情が分かるようになっているのである。映画の最後、写真で見せた藍沢のリラックスした表情が、その象徴ではないだろうか。『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』から観始めた方は、ぜひテレビドラマ版を見返して表情の違いを楽しんでみてほしい。

 ちなみに、個人的に山下の演技以外で推したいのは主題歌であるMr.Childrenの「HANABI」の効果だ。歌詞と物語、登場人物とのリンクがとても感慨深い。このように、実に様々な見どころがある『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』。まだ観劇していない方は、映画館の大スクリーンで楽しむことをお勧めしたい。

(文=高橋梓)

■公開情報
『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』
全国東宝系にて公開中
出演:山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香、比嘉愛未、浅利陽介、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、成田凌、新木優子、馬場ふみか、新田真剣佑、かたせ梨乃、山谷花純、丸山智己、杉本哲太、安藤政信、椎名桔平
監督:西浦正記
脚本:安達奈緒子
音楽:佐藤直紀
プロデュース:増本淳
主題歌:Mr.Children「HANABI」(TOY’S FACTORY)
配給:東宝
(c)2018「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会
公式サイト:http://www.codeblue-movie.com/

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