石原さとみは“愛”を選択するだけではない? 『高嶺の花』に隠されたテーマを読む
石原さとみは、『失恋ショコラティエ』(フジテレビ)では、松本潤演じる小動から一途に惚れられ、また彼の創作意欲の源になると崇め奉られる吉岡紗絵子を演じた。ミューズではあるが、プレイヤーではなかったのだ。しかし、『高嶺の花』では、創作の面では自分自身がその真ん中に立たされている。その上で、美貌を持っていることで、男性たちから、自分自身の表面だけ(見た目や家柄)で見られているということにも気づいている。つまり、ももは、プレイヤーであり、ミューズでもあるのだ。
だからこそ、ももは自分の家柄や才能など、なんの情報もない状態で、風間直人の前に現れる。その後も、ももは直人たちにキャバ嬢と勘違いされたままで付き合っていくのだが、彼女が自分の正体を明かさないのは、なにもない自分をどこまで直人が見てくれるのか、それが知りたいからではないだろうか。
2018年の恋愛ものは、単に直人の真心がヒロインの閉ざした心を溶かすだけでは関心を得られない。ここからは私の予想であるが、彼女がさまざまなものを背負っているのを知ったとき、直人がどんな行動をとるのかが、このドラマの肝になるのではないだろうか。そのときに「僕は死にましぇん!」以上の名台詞が生まれたりするのだろうか。
■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。
■放送情報
『高嶺の花』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00放送
出演:石原さとみ、峯田和伸、芳根京子、千葉雄大/升毅、十朱幸代/戸田菜穂、小日向文世ほか
脚本:野島伸司
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:松原浩、鈴木亜希乃、渡邉浩仁
演出:大塚恭司、狩山俊輔、岩崎マリエ
(c)日本テレビ
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