『半分、青い。』に新たな風を吹かせる存在に 間宮祥太朗、観客を物語世界へ誘導する素養
先に触れた『僕たちがやりました』や、昨年の公開作である『トリガール!』など、いずれも振り切れたテンションでの役どころが強い衝撃を生み出していたが、オーバーアクトににはならない絶妙なさじ加減で、観客たちを物語世界へ誘導するという大役を担っていたように思う。今回の涼次役でもまた中心に立ち、作品の印象を大きく左右しかねないポジションであることから、やはり彼がそういった素養を持ち得た俳優であることが作り手たちの間では周知の事実であることがうかがえる。
間宮が登場したのが新章へと突入するタイミングであったこともあるが、涼次の個性的なキャラクター性と演じる間宮の存在感とが影響し、作品の感触も変わり始めているのではないだろうか。鈴愛をときめかせた朝井正人(中村倫也)、萩尾律(佐藤健)、秋風羽織(豊川悦司)、彼らの“ロス”を超え出てきた涼次のこれからの動向に注目である。
漫画家の道を自ら絶ち、親愛なる律の存在もなくなった鈴愛にとって、もっとも心が休まり、信頼できる存在である涼次。2人が家族になるということであれば、“鈴愛と誰か”との関係性の中で、今までは見ることのできなかった彼女の姿や言葉を知ることができそうだ。それを引き出してくれるのは涼次だろう。涼次/間宮の登場によってますます変わる『半分、青い。』から、目が離せない。
■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保
■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一/佐藤健、原田知世、谷原章介/余貴美子、風吹ジュン、中村雅俊、上村海成/豊川悦司、井川遥、清野菜名、志尊淳/間宮祥太朗、斎藤工、嶋田久作、キムラ緑子、麻生祐未
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/