『ハン・ソロ』ロン・ハワード監督が語る、監督交代劇の裏側と興行不振に対する赤裸々な思い

「興行的には厳しいけれど、最終的な結果がわかるのは1年後」

ーー『スター・ウォーズ』シリーズのアナザー・ストーリーということで、『ローグ・ワン』と比較されることも多い作品だと思いますが、監督自身は『ローグ・ワン』を意識することはあったんですか?

ロン・ハワード監督とチューバッカ(撮影:堤博之)

ハワード:いや、それはないね。完全に独立した作品として考えていたよ。『ハン・ソロ』は『スター・ウォーズ』のメインストーリーと全く関係していないし、これまでの作品を観ていなくても完全に理解できる。『ローグ・ワン』は『エピソード4/新たなる希望』につながる内容だったし、そういった意味では、メインストーリーとつながりがない今回の作品は実験的だったとも言えるね。だから、むしろ観客にとってもチャレンジングなんじゃないかな。ルーカスフィルムは、『スター・ウォーズ』ファンに「『スター・ウォーズ』にはこういう物語もありえる」ということを伝えたいということだと思うんだ。これまでにやってきたアニメシリーズやゲーム、小説の展開なんかもその一部だよね。あえてクリエイティブなリスクを取って、実験を続けているんだ。

ーー全米をはじめ世界的には興行面で苦戦していることに対しては、どのように受け止めていますか?

ハワード:公開日や物語の実験性、ファンが期待していたものだったかどうかなど、いろいろな要素があるとは思うけど、興行的に苦戦しているはっきりとした理由は誰にもわからないんじゃないかな。ただ、2つのことははっきりしている。1つは、観客の反応はとてもいいということ。僕の友人や信頼している知人からもとても高い評価をもらっているしね。もう1つは、『ハン・ソロ』の物語はまだ終わっていないということ。日本での公開もまだこれからだろ? それに、例えば1年後に、世界中のファンが『ハン・ソロ』をどう観たのかを振り返るのも面白いと思うんだ。僕自身はもちろん劇場の大きなスクリーンで観てほしいと思っているけれど、待ってでも違った形で観ようと思ってくれているファンももちろんたくさんいる。そういう人たちに“最高の映画体験”をしてもらえないのは残念ではあるけれど、人間的な物語だからこそ、フォーマットに限らず必ず響くとは思っているんだ。現状、興行的には厳しい部分もあるけれど、最終的な結果がわかるのは1年後じゃないかな。日本のファンのみんなには是非劇場で観てほしいね。

(取材・文=宮川翔)

■公開情報
『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』
6月29日(金)全国公開
監督:ロン・ハワード
製作:キャスリーン・ケネディ
出演:オールデン・エアエンライク、ウディ・ハレルソン、エミリア・クラーク、ドナルド・グローヴァー、ヨーナス・スオタモ、ポール・ベタニー
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2018 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.
公式サイト:https://starwars.disney.co.jp/movie/hansolo.html

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