上白石姉妹、マルチな才能を示す 『羊と鋼の森』萌音&萌歌が見せたリアルな距離感

 無邪気な演奏で観客を魅了する由仁。そんな妹に劣等感を抱いている和音は、外村に「すごいんです、由仁は……」とつい本音を漏らしてしまう。姉妹で同じことをすると比べられてしまうのは仕方のないこと。下手すると萌音の言葉に聞こえてしまうこのセリフを和音として落とし込み、自然な演技として昇華させた。

 一方、由仁も奔放な性格ながら時折、目配せや不安げな表情で、姉を心配する様子を見せる。その心情の緩急が、高校生という多感な時期をうまく表現していると同時に、姉妹の絆を感じさせてくれる。そして自分に自信が持てなかった姉がプロになると決断し、由仁も調律師になること決意する。

 高校生という時期はとても繊細で少しの挫折で一気に崩れてしまう。そんな脆さを姉妹2人で支え合い、成長していく姿は等身大の彼女たちにしかできないものだ。20歳、18歳というタイミングでこの役を演じたことは2人にとっても大きいものとなり、将来の決断をする佐倉姉妹同様、将来を決定づける重要な作品となるかもしれない。それほどに2人の存在感は大きかった。

 萌音は昨年、COUNTDOWN JAPAN 17/18に出演、8月に発売されるHYのトリビュートアルバムに参加するなど音楽活動も本格的に動き出している。萌歌は7月20日公開の細田守最新作『未来のミライ』で主人公の少年・くんちゃんの声優を務め、『君の名は。』でブレイクした姉に続き期待が高まっている。また9月には映画『3D彼女 リアルガール』への出演も決まるなど活躍の場を広げている。本作同様、同じ道を歩んできた2人だが、これから先、それぞれの個性を生かした唯一無二の女優になっていくだろう。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

(文=馬場翔大)

■公開情報
『羊と鋼の森』
全国東宝系にて公開中
出演:山崎賢人、鈴木亮平、上白石萌音、上白石萌歌、堀内敬子、仲里依紗、城田優、森永悠希、佐野勇斗、光石研、吉行和子、三浦友和
原作:宮下奈都『羊と鋼の森』(文藝春秋刊)
監督:橋本光二郎  
脚本:金子ありさ  
音楽:世武裕子
(c)2018「羊と鋼の森」製作委員会
公式サイト:http://hitsuji-hagane-movie.com/

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