大野拓朗、コミカルな演技は“三枚目キャラ”にハマる 『正義のセ』吉高由里子の恋人役の意外性

 駆け出しの女性検事の奮闘を描いたドラマ『正義のセ』(日本テレビ系)で、吉高由里子が扮する主人公の恋人役を演じている大野拓朗。NHKの連続テレビ小説『わろてんか』での好演も記憶に新しい彼は、端正なルックスに好バランスな三枚目のキャラクターで、活躍のフィールドをじわじわ拡大中だ。

 高校時代に3年連続でミスター・コンテストでの優勝を果たし、立教大学在学中にはミスター立教にも選出されたという大野は、2010年に『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』で藤原竜也や綾瀬はるか、北大路欣也ら大先輩たちに囲まれて俳優デビューした。超実力派メンツの中で、ひとりだけ新人らしくフレッシュな演技で闘う姿が鮮明に記憶に残っている方も多いだろう。


 あれから8年、当時の初々しい印象はすっかり薄れ、映画にドラマにと着実にキャリアを重ねる彼は、各作品ごとにその存在感を増していく。『セーラー服と機関銃 -卒業-』(2016)で橋本環奈演じる女組長の硬派な右腕・裕次役や、英語でのセリフまで操った『高台家の人々』(2016)での高台茂正役など、出番の長短に関わらずたしかな好演を見せてきた。

 『サバイバルファミリー』(2017)では東京中がパニックに陥る中、「せっかくなんだから、この状況を楽しまないと」と、イケてる一家の長男を、時任三郎、藤原紀香、志尊淳らの中で飄々と演じた。一家揃って出番は短いものの、息のあったチームプレーを披露し、緊迫した状況下にユーモアを生み出して、シュールな笑いを誘った。そしてドラマ版に主演後、映画初主演をも果たした『猫忍』(2017)は、大野を語る上で外せまい。彼の甘いマスクと作品のコメディトーン、そのアンバランス感あってこその、実に楽しい作品である。

 そんな中で大きな当たり役となったのは、やはり前クールの連続テレビ小説『わろてんか』(NHK)で演じたキース役ではないだろうか。3度目の共演であった前野朋哉との、抜群のコンビ感と愉快な掛け合い。当時の主流であったド派手な“どつき万歳”から、軽妙な“しゃべくり漫才”へと、その道を切り拓いていく第一人者的な存在を見事に演じきった。しかもこの2人は「潮干狩」というコンビ名で『M-1グランプリ2017』に出場し、予選の1回戦を突破。これは彼がコメディセンスに長けていることの証明でもあるだろう。

 さらに大野は、主演を務め、先月公開された映画『台湾より愛をこめて』でも、お笑い芸人役を好演。売れない日々に悩みながらも、お笑いで大成することを諦めない青年・雄介を、等身大の姿でハツラツと演じた。彼の快活でコミカルな演技は、三枚目的なキャラクターに見事にハマるのだ。

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