山崎賢人が、見つけたものと失ったもの 『トドメの接吻』で繰り返した門脇麦への別れのキス

 そんな彼の想いに少なからず共鳴する、宰子の姿がまた切ない。「想いが届かないと分かっていながら、この想いだけは捨てられない」という尊氏の美尊を想う気持ちを、唯一理解できるとすれば、それは宰子なのだろう。「想い」を言葉にせず、仕草や微細な表情の変化で見せる門脇の好演は、行動派でストレートな面々が揃った本作に、深みを与えている。ラストでの宰子の唐突な死に、旺太郎は慟哭する姿を見せた。愛を否定し、「愛なんて欲しがるから不幸になる」が口癖の彼だが、この瞬間の彼の中に渦巻いている感情は、「愛」以外になにかあるというのだろうか。

 いよいよ次週は最終回。“タイムリープ”を使えないはずのいま、宰子の死に、身近な人の死に、旺太郎はどう応えるのだろうか。そして、“キスしてもタイムリープしない”春海(菅田将暉)とは何者なのだろうか。

※山崎賢人の「崎」は「たつさき」が正式表記

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
『トドメの接吻』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:山崎賢人、門脇麦、新田真剣佑、新木優子、佐野勇斗、宮沢氷魚、堀田茜、唐田えりか、山本亜依、志尊淳、菅田将暉
脚本:いずみ吉紘
音楽:Ken Arai
チーフプロデューサー:西憲彦
プロデューサー:鈴木亜希乃、渡邉浩仁、岡宅真由美
演出:菅原伸太郎、明石広人
(c)日本テレビ
公式サイト:http://www.ntv.co.jp/todomenokiss/index.html

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