“藤吉ロス”なぜ起こらない? 松坂桃李、死してなお『わろてんか』に出続ける異例の展開が話題

“藤吉ロス”なぜ起こらない?

 実際、これまで『わろてんか』でも“ロス現象”は一度起きている。放送から2週目で早々に姿を消してしまった、千葉雄大が演じる、ヒロイン・てん(葵わかな)の兄、“新一ロス”だ。第12話の冒頭、新一の姿は一切映らず、てんと妹のりん(堀田真由)が、新一の仏壇に手を合わせているシーンで始まり、「新一は家族の笑顔に包まれ、静かに息を引き取りました」というナレーションにより、新一が亡くなったことが判明。また、てんと父・儀兵衛(遠藤憲一)の別れも実際には描かれず、風太(濱田岳)の口から亡くなったことを知らされるという、両者ともあっけない別れの展開だった。 

『わろてんんか』第2週で去った千葉雄大(写真提供=NHK)

 これまで、1人のイケメン俳優が去ると、そのロスを防ぐべく、新たなイケメンが俳優が投入されるという流れもあった。『ひよっこ』では、何度か同じ出演タイミングもあったものの、竜星涼、竹内涼真、磯村勇斗が少しずつ順番にズレながら登場しており、『あさが来た』では、フジオカと入れ替わるように瀬戸康史が出演した。『わろてんか』でも、松坂のバトンを引き継ぎ、成田凌が成長した息子・隼也を演じている。

『わろてんか』で鈴を鳴らす葵わかな(写真提供=NHK)

 今のところ、幽霊として藤吉が姿を見せたのは、すでに4回ほど。藤吉の死から4年後の第103話では、リリコ(広瀬アリス)と四郎(松尾諭)による漫才コンビ「ミス・リリコ アンド・シロー」を売り出すことに悩むてんを後押しし、第109話でその漫才が成功を収めたときには、「ようやったな」と参上。さらに、第115話でてんが隼也の子育てに失敗したと落ち込む模様を見て、「すまん。隼也のやつ、若い頃の俺と、アカンとこ全く同じやわ」と謝罪する。“藤吉幽霊”が姿を現す際には、必ず2人の思い出が詰まった鈴が鳴る。はじめは戸惑いを見せていたてんだったが、第121話ではもうなんのためらいもない様子で、“鈴を鳴らしたら藤吉が出てくる”という流れが定番かのように描かれていた。

 松坂は、自身の公式Twitterにて、2月24日にクランクアップを迎えたことを報告。この知らせによって、今後も松坂の登場が期待できることが判明した。

 涙の別れから一転、予想外の度重なる藤吉の降臨に、あっけに取られている視聴者も多いだろう。これが『わろてんか』が見せる、“わろてんか?”な演出なのかもしれない。とはいえ、“藤吉幽霊”は今のところ、てんの良き相談相手として、もしかしたら生きているときよりもいい働きをしているのではないだろうか。死後になってしまったが、本作の冒頭であれだけてんをかき乱していただけに、挽回のチャンスを掴んでほしい。

(文=大和田茉椰)

■放送情報 
NHK連続テレビ小説『わろてんか』
出演:葵わかな、松坂桃李、濱田岳、広瀬アリス、徳永えり、大野拓朗、前野朋哉、岡本玲、藤井隆、内場勝則、高橋一生、松尾諭、成田凌ほか
作:吉田智子
音楽:横山克
平成29年10月2日(月)~平成30年3月31日(土)全151回(予定)
<総合>
(月~土)午前8時~8時15分/午後0時45分~1時[再]
<BSプレミアム>
(月~土)午前7時30分~7時45分/午後11時~11時15分[再]
(土)  午前9時30分~11時[1週間分]
写真提供=NHK
公式サイト:http://www.nhk.or.jp/warotenka/

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