橋本愛、視聴者の心を掴んだ大粒の涙 『西郷どん』難役・須賀を好演
『西郷どん』(NHK総合)第8回「不吉な嫁」は、先週に続き、西郷吉之助(鈴木亮平)の嫁となった伊集院家の須賀(橋本愛)がキーパーソンとなる回だった。島津斉彬(渡辺謙)から江戸へのお供に選ばれた吉之助に家族は歓喜するものの、須賀だけは江戸行きに反発する。その理由は、支度金に30両もの大金が必要であり、貧しい西郷家にはとても用意することができる額ではなかったのだ。
西郷家は吉之助の江戸行きのため、死に物狂いで金をかき集める。しかし、須賀は無駄だと言い切り、里へと帰ってしまう。友人の大久保正助(瑛太)をはじめ、西郷家による努力の甲斐もあり、資金を確保し江戸行きが決定した吉之助。そこに、須賀が父とともに西郷家を訪ね、離縁を申し入れてくる。「須賀は吉之助にはふさわしくない未熟者」「妻にはなったが西郷家の子守にはなったわけではない」「貧乏は嫌だ」と父が須賀の代わりに吉之助へと離縁の理由を伝える。「ほんのこて、わがままで悪うございました」と須賀が口を開くと、父が餞別という名の手切れ金を渡す。須賀は「こいで綺麗さっぱい夫婦の縁を切りもんそ。江戸でん、どこでん行って勝手に出世してたもんせ。あぁ、清々した!」と最後に感謝の言葉を伝え、そそくさと西郷家を去る。そんな須賀の後ろ姿に吉之助は「あいがとなぁ」と小さく言葉をかける。吉之助は、須賀の“本当の気持ち”に気付いていたのだ。
須賀は、帰路に本当の気持ちを父へと伝える。「私はあげな優しか男は見たこっがございもはん。優しくて、温かくて……」「優しすぎっとじゃ。一緒にいたら離れられなくないもす。江戸へ行くなち、引き止めてしまいもす。あん人の優しさは自分の身を捨てて、相手の気持ちになってしまう」と手切れ金を渡し、須賀はあえて自分から身を引いたのだ。「日本一の婿殿をこっちから離縁してやいもした!」とつよがりを見せるが、須賀は大粒の涙を流し始める。それは、西郷家では出さない素直な表情だ。